初Live2Dモデリングをやりきって理解したことまとめ
VTuberとして中の人の精神体を解放するため長々とモデリングしてましたが、ようやく完成し活動可能な状態にたどり着けたので諸々の所感をまとめていきたいと思います。
事前準備と作業計画がめちゃくちゃ大事
実際にやり終えて、モデリングを始める前の準備と計画がめちゃくちゃ大事だったなと心底感じました。ちょっと書き出してみます。
実際にどう動かすのかを想像しながら描いてレイヤー分けをする
分けたレイヤーやフォルダに名前を付けてのパーツ管理
動かし方を想像してのメッシュ割り
デフォーマの親子構造をどう作っていくべきか
どの順でパラメータを打つと効率よくモデリングできるか
この辺りがちゃんと考えられているともっと早くモデリングができるんじゃないかと思います。やり続けて追究していくべきところもあるけど、初期からある程度テンプレ化できることもあるんじゃないかと思う。
重要性の高い作業はモデリング前までの方が多い
思い返すと、重要な作業はモデリングに入る前までの段階が殆どを占めていたんじゃないかと思ってます。やりたい事に対して「このパーツ分けじゃ立体的にならない」「意外と塗り足しが足りない」「なんならパーツ自体を描き足し直さないといけない」「このメッシュ割りだと綺麗に動かない」などの巻き戻り案件が作業中にたくさん出てきました。想像力をフルに働かせてゴールまでに必要になる作業を割り出す必要があるということと、理想かつ効率的なモデリングをするには土台作りがほぼ全てだということを思い知りました。
考えてモデリングしないと工数が5億倍くらいになる
またモデリングに関しても、「ここにこの順でやればもっと楽に綺麗に動かせたじゃん…」といったことは大量にありました。デフォーマ構造をしっかり理解して管理しないと子パーツの動きが変になってしまうし、あっちを直したらこっちがズレるみたいなことになるし。パラメータをどのデフォーマに打つか、また打つ順をどうするか、考えないと工数がとんでもなく膨れ上がります。ちゃんと手数少なく済む方法を考えましょう。
(誇張で5億倍って言ったけれど、特にパラメータとキーの打ち方に関しては1項目増やすだけで乗算的に工数が増えていくのであり得てしまう数字かもしれない)
初挑戦なら通しでモデリング経験をしておいた方が良い
まあでも実際に自分で一度やらないと分からないことだったかなとも思ってます。「理想のイメージにするために何が必要なのか」「どうすると作業がやり直しになってしまうのか、何であれば修正可能なのか」「Cubism側で何ができて、何ができないのか」を把握するため、まず練習として完成までの一連の流れをリハーサルしてから本番モデリングをするのを強くオススメします。自分はいきなり本番で難易度の高いことを最初からやろうとしてだいぶ破滅してました。
(たぶん)勉強用に立ち絵データを公開提供してくれている方とか居るんじゃないでしょうか。もし大丈夫そうであれば拝借して一回やってみた方が良いです。隣に「これから初めてVtuberのLive2Dモデリングするんだ」という人がいたら間違いなく熱弁します。
※魔王様ことディープブリザードさんが講座動画と一緒に勉強用PSDを公開されていたのを思い出せたので貼っておきます
実際にやってみて気付いたこと
レイヤー分けをし過ぎても良くない
「とりあえず細かくレイヤー分けをしておけば何とかなるでしょ」と思ってましたが、そんな事はありませんでした。実際には必要なメッシュ割りやモデリング作業がそのレイヤー分増えるので地獄のような作業を自分で増やすだけになってました。
塗りレイヤーに乗せる影や服の模様を動かすといったことをするつもりがない限りは、線と塗りは結合しておいた方が圧倒的に良いです。これから不必要なものは事前にどんどん結合していこうと思います。
ただ、修正作業時(自分の場合はクリスタ使用)ではレイヤーが分かれている状態を保ちたいので、作業用ファイルではレイヤーを分けておいて、読み込み用ファイルでは結合するのが良いと思います。
結合用のスクリプトは公式↑から配布されてます…が、自分はPhotoshopでスクリプトを走らせている時にエラーが出てしまって使えませんでした(この辺りは原因究明ちゃんとしてなかったのでまとめ直そうかと思います)。
一応このスクリプトで結合させなくてもCubismへのPSD読み込み自体は可能、実際に自分は完成させられたわけなので、絶対に必要というわけでもなさそうです。やった方が絶対に効率良いとは思うけど。
わりとCubism側で元絵の修正ができる
元絵修正についてはPSDを逐一ひらいて描き直す→ 再読み込みして更新、としないといけないと思い込んでいたんですが、よくよく考えるとCubism側でのデフォルト状態と、PSDの元絵としてのデフォルト状態を一致させる必要が無いことに気づきました。
つまり特定のパーツに対しての「初期位置を下に調整したい」「大きくしたり細くしたい」「線画の色を変えたい」といったことは、Cubism側で移動変形や不透明度や色の変更をして、変更後の状態をモデリングにおける「初期状態」として扱うことができるので、「もうちょっとこうしたいな」と思ったときに元絵から修正しなくても良い箇所は結構あったのです。パーツ分けに関しても、1枚のレイヤーを複製しつつそれぞれ別の場所をメッシュ割りすることで問題なく分けられる場合もあります。
ただまあやり過ぎると、Cubism側で修正済みなのか、元絵を修正すべきなのかが混乱してくると思うので、「元絵と初期状態との差がない」に越したことは無いんじゃないかと思います。
モデリング中に準備不足に気付いても再インポートでやり直せる
ぶっちゃけ頑張って事前にたくさん想像したところで(初回というのもあったけど)モデリング作業のために必要なものを全て事前に用意してPSDを読み込むのって難しいと思います。やってみて思い通りにいかなくて気付くことは多い。
自分は今後も差分を作ったりパーツを足してモデル改造をしていく気満々なので、このトライ&エラーが可能なのかは非常に重要だったのですが、ここは概ね問題なかったです。モデリングをしてしまった後でも、元PSDを描き直したり描き足したりして再インポートでしっかり更新ができました。
こういった細かな追加や修正がやりたいと思ったタイミングで好きに出来るのがセルフ勢の楽しさですね。これから味わい尽くしたいと思います。
ただ、新しくレイヤーを追加して描いた場合や、レイヤー結合で結果的に新しいパーツ扱いになったりすると、自動でモデル画像が差し変わってくれなかったりします。ここのあたりは割と検索しても見つからなかったので別途まとめようかと思います。
モデリングの難易度は場所によってピンキリ
高可動域モデルにしようとしているかどうかにもよりますが、誰しもがやる筈の頭部モデリングに関して言えば、個人的には「『あいうえお』の口の形を各角度で作る」のが最難関でした。なかなかうまくいかず色々な手法を試みて、調整しては他が破綻しを繰り返して3回は作り直しました。作り方が諸説あるのも難しかった要因かなと思います。
対して目はそこまで難しさを感じませんでした。瞳のハイライトを増やしてもそこまで難しくならないと思う。眉と鼻はおそらく一番簡単。髪はどれだけ丁寧にレイヤー分けしたかでかなり変わります(自分は15束以上は分けた&影とハイライトと線画も分けていたので無事に破滅しました)
ちなみにヘッドホン的な物体のように明確に側面を見せなければいけない類の無機物、しかも円筒状の物は絶対に手を出さない方が良いです。それらしく見せるのがめちゃくちゃ大変でした。口以上に試行錯誤したかもしれない。普通に耳を見せるモデルにした方が良いです。
あと挙げるとすれば所謂「揺れもの」ですが、これは蓋を開けてみれば案外簡単にできました。自分が特殊なことをしようとしていないだけだったかもしれませんが、巷にアップされている物理演算設定の解説を見て仕組みを理解すればいいだけでした。寧ろめちゃくちゃ楽しかったので研究していきたいところです。
ぶっちゃけ全身をモデリングする必要がない
VTuber活動において重要なのって、よくよく考えたら腰から上の部分じゃないですか?それより下に力を注ぐ必要ある?下半身が無いことによって処理が軽くなるとかそういうこともあるんじゃなかろうか?
っていうのをモデリング工数がヤバいことに気付いてから(ほぼ逃げの意識で)思うようになりました。実際に自分は「モデリング完成」としましたが腰から下は作ってないです。当面見せる機会がないので。Zoomでわざわざ理由もなしに全身見せて会議に参加する人いないですよね。そういうことです(?)
まあ絶対に全身あった方が良いですけどね…自分は早く自分のモデルで活動が始めたくて、工数削減のつもりで切り上げちゃいました。でも多分このnote見られない限りはバレないのでヨシとします。
全身を見せる必要が生じたり、興味を持ってくれている人が増えて「三面図出すか~」って今後なったときに作ろうかなと思ってます。
ほか、遭遇した事故とかエラーなどのリスト
キーフォームを打っていないのに変形をしてしまう(初心者あるある)
「メッシュ編集を取り消しますか?」→ [はい]or[取消]の選択肢が出され混乱して無事にメッシュ割りの進捗を一気に失う
子の変形が親デフォーマをはみ出してしまう
存在している筈のパーツが編集ビュー上に表示されないバグ
PSDの再インポートでモデル画像が更新されたりされなかったりする
大きな1パーツのメッシュ割りを細かくしすぎて激重になる
キーフォームの間に謎の動きが挟まって補間が変になる
意図しないところに別のパーツのテクスチャが入り込む(テクスチャアトラス設定の問題)
マスクの順列が多すぎてモデル書き出し時に警告される
これらも注意点とか回避方法とか書きたいところなんですが、そろそろ4000字超えちゃったようなのでそれぞれ別記事で言及していこうかと思います。
備考:参考にさせていただいた先生がた
この場を借りて感謝をお伝えしたいと思います。とても助かりました、ありがとうございました!これからも応援しております…!!
まとめ:自作絵が動くとめちゃくちゃ感動する
自分で描いた絵が自分の手によって本当に生きているかのように動くというのは、「夢が叶う」という言葉にも収まりがたい感動がありました。絵を描くことが好きな人なら是非一度試してみてほしいです。絶対にハマります。
この記事がこれからモデリングをする誰かの助けに少しでもなって、世の中に作ることが好きな人が増えたらいいなと思います。
以上、七夕あるた の外の人でした。