七夕の夢
私が子どもの頃。幼稚園年中だった年の七夕のお話。
先生が用意した流れ星の画用紙に将来の夢を書くという活動があった。
星と流れ星の箒の部分は自分で色を塗り文字は先生が書いてくれたように思う。
当時の私は幼稚園の先生の真似をしたり、童謡の「すてきな山のようちえん」のような生活を自分なりに考えるのが好きだったような気がする。
でもなぜかそのとき
「かんごふさん」
と先生に伝えてしまった。母が昔看護婦をしていたことをちょうどその頃認識したのだろうか。本当になぜなのかどうしても思い出せないのだが、先生にそう伝えたのだ。その瞬間はそれでいいと思ったことも記憶している。
でも、その流れ星が保育室に飾られる頃には後悔の嵐が襲ってきていた。
「しまったーー!なぜそうかいてしまったんだ!わたしのゆめはようちえんのせんせいだったーー」
心の中で何度も叫んだ…気がする。
でもそう書くことにしたのは自分だし誰も責められない。私はもう幼稚園の先生にはなれないかもしれない…そう落胆しながらも、その後悔は、幼いなりの「自己責任」において、先生にも母にも言わなかった…ような気がする。
遠い遠い記憶の中のできごと。