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ふつうの女。

えっ?まあ、ふつうだよ。

消波ブロックみたいなその一言を僕は置く。

お前変だよって言われたくないくせに
普通でないことをアピールし続ける女。
色んな波に飲まれてきたんだろう。
受け止めることはできないが(すまん)、
ふつうの力で自己憐憫の防波くらいはできる。

アイスティーの氷が溶けて
透明と茶色の二層になっている。
吸う気は起きない。
それを眺めながらタクシーを待った。

他人に叩かれたその女の個性を
僕は1ミリも共感したりはしない。
かと言って
この地球のエコに反してるわけではないし
グレタさんを怒らせたわけでもない。
つまりは、ふつうだ。

普通の女の普通の癖を普通の凡人が普通にイジる
そして、普通の女は普通にそれを気にしている。

飛び道具を出して解決に導くことはできない。
僕はただ、消波ブロックを置くだけだ。

どれもこれも
君のやらかしたことはふつうにすぎないんだ。
勝手に個性を傷つけられたテイで
天才のフリしてんじゃねーぞ


感情の波を生身で受け止められる程
それをヨーシヨシヨシヨシできる程
僕はムツゴロウさんではない。

今度食べに行きたいお店の話の途中で
その女は僕の撫で肩にもたれ掛かり寝た。
おい、そういうとこだぞって注意しかけたが
勃起してしまったのでバツが悪くなり
後部座席でヤフーニュースを読んだ。
青森山田高校の強さの秘訣に迫りかけたところで
その女のマンションに着いてしまった。

普通にその女を降ろして普通に帰路に着く。
普通に抱けば良かったと普通に後悔して
普通に小さな感情の波を立てる。

そんな僕らは、ふつうだ。




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