75年間、戦えますか(受験について考える)
わたしの住んでいる地域は、都内の例に漏れず、中学受験が過熱している。
長女の同級生はほとんどが中学受験する予定らしい。
中学受験しない我が子は圧倒的に少数派。
試しに中受塾に入れてみたことがあるが、玄関の柱にしがみつき、「絶対行かない!」と泣き、2回目で辞めたという逸話の持ち主だ。
「うちの子、全然、宿題をやらなくて」や「クラス分けテストの偏差値が伸びなくて」とお悩みのママを見ると、悩みの次元が違いすぎて、「うちの子、柱から離れなくって」とは言い出しにくい。
中学受験をしない我が家は、必然的に高校受験をすることになる。
先人たちからは、
「中学受験で希望校に入れず公立を選択した受験経験者の頭のいい子たちが上位独占するから、内申点がとれない。内申点を加味される都立高校はきびしい」
「私立だと、特に女子の場合、高校から募集している学校がそもそも少なくきびしい」
との恐ろしいウワサを、よく聞く。
都立も私立も厳しいなら、どこに入れるのか。
ただただ、不安である。
「中学受験しない場合、小学生のうちから、高校受験用の塾に行く」という話を聞いて、重い腰をあげて、塾の資料請求をした。
昭和生まれの自分の経験してきたのほほんとした受験を思い返し、「小学生から高校受験の勉強・・・?正気か・・?」と思っていたが、本気で小5から高校受験コースがはじまっている。
正気じゃないのは私の方だったようだ。
小5コースは週2で思ったより価格も高くなく、その気になってパンフレットを読み進める。
中1になると、週3〜4、中2や中3になると週5〜6回になる。
おお・・・週6・・・。
毎日毎日、学校行って、部活やって、塾行って。
世界で一番忙しいと言われている日本のワーママより多忙なのではないか。確実にわたしより忙しい。
今の子どもたちが大人になる頃には、人手不足で定年がおそらく75歳(下手したら80歳)くらいになっている気がする。
いや、そもそも終身雇用制度が崩壊して、定年という考えも変わっているかも。
多忙な小・中・高校時代を過ごし、大学も勉強サークルバイトと忙しく、その後も多忙な社会人生活を送り、真の余暇を味わえるのは、75年後なのではないか。
気付けば、バブル期の象徴「24時間、戦えますか」で有名な栄養ドリンク「リゲイン」も主力製品の販売を終了し、「人生100年時代を応援する」というコンセプトの錠剤タイプに変わっているらしい。
受験するにしても、しないにしても、変わっていく時代を、強くしなやかに、そして楽しく、生きていってくれればいいと願う。