見出し画像

結婚前に目をこじ開けてみておくこと -同僚の婚約

チーム一の美男子クリス君が3年間付き合った彼女と婚約をした、と連絡してきました。まぁなんておめでたい。彼女のチェルシーさんとは職場の何人かで行ったワイナリーで一度お目にかかったことがあって、とってもきれいな方で、ザ・美男美女という感じ。

これからいつどこで式を上げて、新居はどこに構えて、などなど、考えることがたくさんあって忙しいよー、と言いつつ、とても嬉しそうなクリス君。聞いてるだけでも春の気配を感じますな。電話を切った後、「私もこんな感じだったのかなぁ」と大昔に思いを馳せました。それなのに、どこでどう間違っちゃったのかな、とも。というわけで、あまり楽しい過程ではありませんでしたが、私の結婚の失敗の要因を考えてみました。

もう言っちゃった病

これが結局一番大きかったなぁ、としみじみ思います。付き合っているときからちょっとしか違和感はあったのです。人の気持ちが理解できないところとか、自分を不幸にする要因をわざわざ探してきて自分を追い込むところとか、私に対するものすごく冷たい目線とか。でも真面目で誠実な人でもあるので、長く付き合ってきたし、親を含む周りにも結婚を考えていることを言っちゃったし、今さら別れるのもな、と思いつつ、数々の違和感に気づかないふりをして結婚してしまいました。

ええかっこしい病

そして私は周りに弱い姿を見せるのが非常〜に苦手。幸せな結婚生活を送り、キャリアも維持しつつ、優秀な子供たちの信頼も得ている、という絵に描いたような幸せ家族を演じ続けました。離婚したなんて周りに言ったら恥ずかしいというあの頑なな信条はどこからきたんでしょうね。アメリカ生活も長く、何なら日本に一時帰国するたびに、自分がアメリカナイズされていると感じる場面ばかりなのに、こういうところだけ村社会的な考えに固執する不思議ったらありません。子供の前で罵倒されて、ものを壊されて、そんな心の傷を子供に負わせたことのほうがよっぽど恥ずかしいのにね、と今になって反省します。

夫の心の病

夫は人の意見を聞くこともできないし、人に興味もありません。もちろん社会に出ているので人との会話はできますが、私から言わせると会話というよりは知識の交換かな。そもそも人に興味がないので、自分の話をしたり、自分の話に興味を持ってもらえる、自分が褒めてもらえるうちはとても嬉しそうにしていますが、自分以外の人の話に移ると一気に興味を失います。人の気持ちが分からないマイルドなソシオパスだと思うので、もちろん私にも興味はなく、特に私の気持ちなんてのは知る意味あるの?ってな感じだと思います。

なんていうと冷血な人間のように見えますが、それとも違うのが彼の難しいところで。たとえばテレビで戦争で傷ついた子供たちを見て心を傷めたりそれがきっかけで行動を起こしたり、のようなことはできるのです。つまりは脳みそを使って論理的に人の感情や環境を理解できても、それが人の気持ちを押し測ることと違うということは分からないということです。だからこそ「極悪人でも冷血でもないんだから、私がちょっと我慢すれば」という思考がパターン化し、行動を起こすことを脳内で拒絶してしまいました。

お金の問題

夫婦喧嘩の要因と言って思いつくのがお金の問題です。とは書いたものの実は我が家では、金銭上の問題はほとんどありませんでした。無理矢理上げるとすれば、まとまったお金を使うときに夫婦で話し合うべき、という感覚が夫になかったことでしょうか。ただ、私も夫も贅沢をするタイプではなかったのと、ふたりともそれなりに稼ぎがよかったのでお金を使いたいときにいつでも使える状態にあった、というのが大きな要因かもしれません。私の周りでうまくいかない夫婦は多かれ少なかれ金銭面のいざこざが絡んできているので、それだけはラッキーでした。

回避できた病だったのか?

つらつらと別離に至る原因となった病について書きましたが、これは回避できたのかな、とよく考えます。つまり結婚する前に夫との将来を見据えたとき「これはうまくいかない」と見極め、結婚をしない選択肢をすることができたのか?と。

それには、現実を俯瞰するスキルと、自分の分析力を信じて行動を起こす強さが必要でした。私には両方なかったのが敗因です。周りには自立できないが故に不幸な結婚生活を続けているカップルがけっこういるのですが、私は経済的に自立しているのに、精神的には自立できず、夫に貼られた「脳なし」というレッテルを剥ぎ取る努力を怠った結果が長い間にわたる精神的な虐待でした。

だからクリス君だけでなく、これから結婚を考える多くの若者に声を大にして言いたいのです。結婚相手を信頼こそすれど依存はせず、いろいろな意味での自立を心がけながら、幸せな結婚生活を送ってほしい。そして大切に扱われていないと気づいたら、行動を起こす勇気を持ち続けてほしい

なーんて老婆心からのアドバイスを飲み込みつつ、クリス君の幸せトークを聞き続けましたとさ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?