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「控えめな、でも芯が強く、ちゃんと主張のある日傘に仕上がっていると思います。」(お客さまの声より)

残暑がまだ少し感じられる9月初旬のことだった。

今年4月にオーダー頂いた日傘を納品した。

オーダーから待って頂くこと、はや半年。

ようやく完成した日傘は、お客さまの思い入れのある紬の着物をリメイクしたもの。

お客さまとは、この春に掲載して頂いた日経新聞の記事をご覧になってのご縁だった。

ありがたいことに、氏名から私のサイトを探して、すぐにお問い合わせしてきてくださったのだ。



半年前なのに、もはや懐かしい感すら漂っている。

2021年4月25日、日本経済新聞朝刊の特集記事『NIKKEI The STYLE』欄『始末のこころで暮らす』より



記事の内容や経緯など、こちらのブログで書いているので、良かったら併せてどうぞ♪



記事の特集テーマは、「始末のこころで暮らす」だった。

「始末」とは、ものを大切にし、無駄にしないという意味で、主に関西で唱えられてきた精神

のことを言うらしい。

この始末の精神は、国連が定めている持続可能な開発目標=SDGsにも通ずるということで、記者さんは始末の精神の現状を、東奔西走で私を含め、色んな分野の方をインタビューされ、濃い内容を読みやすく、わかりやすくまとめてくださっていた。



今回のお客さまがご依頼いただいたきっかけも、亡くなられたお母さまの形見のお着物が未使用で、それをなんとか活かそうと日傘にすることを選ばれた次第。

近年リメイクをされる方が増え、着物のリメイクも多種多様。

洋服やバッグ、アクセサリー、ぬいぐるみ、色々と選択肢がある中で、お客さまが敢えて「日傘」を選ばれたのには、何か特別な理由があるのだろうか。

もしも「たまたま見た記事の中で、この着物日傘の写真がふと目を引いて心がときめいた」なんて理由だったとしたら、飛び上がるほどうれしい!



なんどもやり取りを重ね、仕上げた日傘。

納品後に到着のご連絡と共に、こんな心のこもったうれしいご感想を頂いた(一部抜粋)。


「紬の日傘、手元に確かに頂戴致しました。

お店で購入したのではなく、

思いいれのある生地を使用して、こんな素敵な作品を

作って下さり 本当にありがとうございました。

お願いして良かった!

作品例の派手な柄の傘も目を惹きますが、紬らしい

控えめな、でも 芯が強くちゃんと主張のある

日傘に仕上がっていると思います。

手をかけて頂き 嬉しく思います。


袋も可愛らしく、来年には早くから

活躍してもらおうと思っております。

使用している写真などもお送りしたかったのですが、

日傘にふさわしい 私の準備が間に合わず、

次の機会に送らせて頂きますね。


柴田様のますますのご活躍を心より祈念申し上げます。

この度は、本当にありがとうございました。」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇

確かに派手ではなくて、控えめだ。

だからこそ、わかる人にはわかる紬ならではの魅力がある。



「芯が強くちゃんと主張のある」とおっしゃったとおり。

温かみや美しさがあり、質感も良くて。

世界にたった1本の素敵な日傘に仕上がった。



傘袋も共布でお作りした(※紐は当店提供品)。



改めてお作りした日傘の写真を見ていると、「出会い」ってつくづく不思議なものだなって思う。

いくつもの偶然の出会いが重なって、こうやって日傘をお作りするご縁が生まれた。

インターネットが今のように発達する以前の話だったら、もしかすると今回のご縁も生まれていなかったかもしれない。

出会ってくださってどうもありがとう!



◇ ◇ ◇ ◇ ◇

さて、そろそろ残暑のピークの暑さも一段落か。

日傘って季節ものだからか、毎年暑い夏が終わると、波がサササーって引いていくようにオフシーズンモードに入る。

つまり、お問い合わせやオーダーも一気に少なくなるの。

で、それが毎年妙に切なくてね、、、


でも、最近ある人に出会って、ちょっと固定観念が変わった。

日傘 = 夏しか使わない日用品

っていう公式に当てはめなくてもいいんじゃ?ってね。


春も、夏も、秋も、冬も、季節を関係なく持ち歩いてもいいし。

なんなら日傘が「日よけをするためだけの道具」って決めつけなくてもいい。



私は、着物日傘は1つの「アート」だと思ってる。

持ち歩けるアート。

飾ってもいいし、もちろん使ってもいい。


ジェンダーレスで、

エイジレスで、

ボーダレスなんだ。


そのことを、やっぱりこれからもっともっと発信していきたい!



で、その一環として、2021年のうちに、国内外の3つのコンテストに、アート作品として着物日傘を出品するって決めた。

2つはもうエントリー済。

結果が出るのが、今年の冬と来年初頭ぐらいだったかな。

最後の1つは、今月末の締め切りに間に合うように目下鋭意制作中!

日傘の常識からも、着物の常識からもかなりかけ離れた問題作かも!?笑

楽しみながら、少しずつ作り上げていまーす♪


無事に出品手続きが終わって、展示が正式に決まったら、こちらでもお知らせするね!

良かったらぜひ実物を見に来てください!



ではまた。

ここまで読んでくれてありがとう♡

Tammy





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