東京 2

【詩】

口笛を吹いて歩く人がいて

口笛を吹いていないことに気づく

口笛を吹く心持ちと吹かない心持ち

誰も口笛を吹かないこの街で

彼女は唇をとがらせそっと息を送り

かすかに音符を奏でてみる

半径1.5メートルの空気をふるわせ

前をゆく人が振り返る表情のない顔で

舞う雪が口笛を含んでゆらり落ち

アスファルトに溶けて街に染み込んだ

tamito

作品一覧

#詩

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?