慈雨を乞う

【詩】

 

何年も使い続けたマグカップに

ひびが入っていることに気づき

胸の奥がキンと冷えるシンク前

取っ手を持つ親指の伸びた爪が

情けなさに乗じて窓の外を見る

広がる清廉な空に不器用な心根

いつだって天気は気持ちに遠い

こんな日はシトシトと春の慈雨

草木の静けさに重ねたい火曜日

 

tamito

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#詩

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