【詩】
雨ざらしの自転車の錆びた車輪
シャリシャリと音をたてて回る
ペダルの重さは誰もが知ってる
あなたが受けとる言葉の重みも
高鳴る鼓動も握る拳の中の汗も
そこにいなくても僕は知ってる
生きることは生活することだと
気づいてしまってからの人生は
ふとした瞬間に途方もなく長く
幾度となく逃げ出すこと夢みる
目をつむって聴こえてくる潮騒
いつかの風が鳴らす木々の囁き
あなたの矜持はあなたのもので
誰にも侵すことはできないから
たとえ絶望の淵で息もできずに
涙も枯れ果て泣き続けていても
雨ざらしの自転車はまだ動くよ
重いペダルを力強く踏みつけて
シャリシャリと音をたてながら
tamito
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