遠ざかる彼の祈りを 19 tamito(詩と小説) 2016年7月13日 21:58 【詩】 その直線運動はすでに1年ほど続いていて火星の引力圏をかすめて木星を目指しているそれはぼくの友人だった男の祈りである祈りは友人の死の直後に発せられ小さな眩い光を放ちながら空を目指した純粋な光であれば火星まではわずか5分ところがそれは時速1700キロくらいで物見遊山を楽しむかのようにのそのそと宇宙の果てを目指しているのであるここからは見えるはずもないけれどぼくは見あげる月のない晴れた夜空に尾をひいて遠ざかる彼の祈りを tamito※作品一覧へ #詩 ダウンロード copy #詩 19 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート