質量のある夜

【詩】

  

好きがあふれて愛という言葉つかう

街角抱きあう彼らのわき通り抜けて

ぼくら無言でつないだ手を強く握る

どこへもたどり着けないことふたり

知っているから行き先は尋ねずただ

雨あがりのみち水たまり避けながら

最終電車までにあと幾つ角をまがり

どれだけこの街に足跡を残すだろう

また会えるという不確実な未来より

いまをめいっぱい引き伸ばしたくて

どこへもたどり着けずに手をのばす

せめても雲がきれて月よ笑ってくれ

質量に囚われてるふたり笑ってくれ

 

tamito

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#詩

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