〈青春の裁き〉

【詩】

 

グレイスケール158 に均一な曇り空が

時が止まったかのよう朝から頭上覆う

92分電車にゆられ78.6キロ南西目指し

終着駅には空よりなお濃度高い海の色

目的も目あても拠りどころもなくただ

23歳の山本陽子も来たのではないかと

〈青春の裁き〉を受けにひとり道行き

そんな時を超えた幻影追いかけて古都

まだ肌寒い切通し越えてくる風に凍え

どこまでも気持ち追いつかない天候に

桜、この人の心映す妖しい花を見あげ

 

tamito

作品一覧

#詩

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?