【詩】
きみのしあわせは行き着いてしまって
生き飽いているテーブルの上
ぼくの虚しさは行き着いてしまって
生き喘いでいる道の端
彼の気概は行き着いてしまって
フリーズしているPCの前
彼女の献身は行き着いてしまって
固く閉じられた掌のなか
たった一日 ただ一度だけ
すべてを忘れて息をする
遠い国で続く紛争も
轢かれた猫の残像も
抗えない天災も
過ぎゆく夏の名残も
死に至る陰湿ないじめも
誰かの漏らす悲しみも
小さな秋の訪れも
ねじまき時計のなくした鍵も
すべてを忘れて息をする
たった一日 ただ一度だけ
行き着いてしまった世界で
行き着いてしまった世界で
tamito
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