見あげる先の青

【詩】


月面に立ち見あげた先の青

うっすらと留まる大気の白

わずかにめぐるその脆さが

人の存在危うさの本質ただ

果てなく広がる闇の濃度に

憧れいだき恐れいだきただ

どうしようもなくいだく恋

夜の街の灯が縁取る地球儀

手のひらに乗せはかる重さ

この小さな青い球体の寿命

加速度的に縮まりゆく人の

終焉向け目隠しして僕らは

走るすべて壊しながらまた

数百万年の後の月面に立ち

見あげる先の青そして白に

思い寄せられる者などなく

月だけが恋するいつまでも


tamito

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