怪獣になれたら

【詩】

 

心が少し風邪をひいて

微熱が世界を曖昧にします

ぎこちない笑顔ではなく

弾けそうで溌剌とした

笑った顔のあなたがいます

こんなことなら〈もっと〉って

やり直せない後ろ振り返り

過ぎた日々に気持ちが向きます

ああ、でも、いまを

未来を見なきゃいけないね

口角あげてあなたをまっすぐ

見つめなくちゃいけないね

あなたが抱えてしまった

怖さやつらさや悲しみやらを

ぼくがすべて飲み干して

堂々としてなきゃいけないね

あなたの不安を全部食べてしまえる

怪獣になれたらいいのにと

心が風邪をひいた日に

 

※〈心が風邪をひいた日〉という表現は、作詞家の松本隆さんの1975年の詞の引用です。

 

tamito

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