忘却

【詩】


忘れられぬと深く沈殿させた思いも

研磨の末にいつかの彼方へ押し込め

そうして僕らは日々歳を重ねながら

青き恥じ入る剥き出しのそれを忘れ

固く分厚い毛皮を幾重にも纏いつつ

おどけたりやり過ごすことを覚えた

ときに現れる赤茶けた塊を手に取り

ぼんやりと眺めるまなこのさきには

ぬめりを持った焦点が合わぬあれが

突然変異胎の如く自我を凍結させる

僕らの忘却はあまりにも純粋過ぎて

あまりに残酷極まりない形で現れる


tamito

作品一覧

#詩

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?