【詩】
新宿駅西口歩道橋の上から
川の流れぼんやりと眺める
岩にぶつかり弾ける飛沫に
見分けられるだけの個性が
あると言えるだろうかただ
流れに身をまかせてもしも
飛び出す機会あるとしても
強く弾けて飛んで河原の石
黒い染みとなりわずかな時
過ごす泡沫の夢に過ぎない
流れは集まり大河を成して
やがては母なる海へと還る
そしてふたたび森に生まれ
繰り返し繰り返し繰り返し
繰り返すだけの命に過ぎず
繰り返し繰り返し繰り返し
過ごすだけの生に過ぎない
新宿駅西口歩道橋の上から
川の流れぼんやりと眺める
ときに弾ける飛沫に微かな
ほんの微かな期待を抱いて
tamito
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