【詩】
ふたつの物語を同時に書いても
どちらかの物語に気持ち惹かれ
もうひとつの物語が淋しくなる
あるいは先に書き始めた物語に
十分な言葉を費やしているうち
もうひとつの物語が言葉を失う
この窓から見える街の景色には
いくつもの物語が行き交っては
ぼくのきみのファインダーから
外れてくすべての物語が過去へ
過去へと流されて記憶のなかに
記憶の奥底にファイルされてく
未来から流れくる物語を掴まえ
僕らのほんとの物語か確認して
日々、優先順位をつけ続けてる
淋しい物語を生み出さないため
淋しい物語を生み出さないため
tamito
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#詩