世界の中心で、愛をさけべばいい
【詩】
突然のどしゃ降りに足を止められ
カフェの窓思考停止で雨を眺める
メールとスケジュールを確認して
45分の猶予を与えそして濃い霧の
森の中へとそろり足を踏み入れる
全速力で何百メートル走れるかと
ゴールのない馬鹿げた賭けをして
心臓が壊れる寸前まで競った夏に
解の得られない恒等式定理の証明
そして心のベクトル基底の在りか
草原に座り筆をとりカドミウムの
レッドパープルパレットに置いて
見えない風景切り取ろうと試みる
そんな遊びでも遊びじゃなかった
目にするものと目にしないもの秋
モーツァルト楽譜数値化幾つもの
規則と不規則乱数列にして冬の暮
人の心に近づこうとストーブの朱
放課後のモラトリアム誰かが云う
世界の中心で、愛をさけべばいい
雨脚のやわらかな春の夜脱け出し
街をどこまでも歩く時間を止めて
外灯の途切れた道端から見あげる
雲の切れ間月までの距離をはかる
45分のモラトリアム切り替えて現
tamito
作品一覧へ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?