森のなか

【詩】

 

雨の匂いがすると森へ行きたくなる

森には亡霊がいてぼくを待っている

度数分析や多変量解析を置き去りに

車窓の人となりあの場所へと向かう

霧雨に霞む幽静な景色に分け入って

波立たぬ池の畔に有り得べき姿追う

紫陽花の向こう、欅の陰、桜の下、

そこで、ここで、いたるところで、

朽ちた別荘の白塗りが剥がれまるで

ぼくら時を遡った気持ちにさせて今

右隣り寄り添う亡霊の影が薄くなる

 

tamito

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#詩

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