【詩】
冬の朝
どこまでも青い空を見上げて
もうゲームは終わったんだよと
隣に並んだ君が言う
電線にとまった二羽の雀が
寒気に羽根を膨らませる
確かにあのゲームは終わった
終わったのかもしれない
でもまた新たなゲームが
自らの意思とは別のところで
この平和な世界とは別のところで
すでに始まっているのかもしれない
凛として肌を刺す冷たい空気が
僕らふたりにも浸透してゆく
羽根を持たない僕らは代わりに
肌を寄せあい温めあう
寒気や恐怖や怒りや悲しみや
虚無や寂しさや恨みや嫉妬や
この平和な世界は次の瞬間にも
ガラリと表情を変えるかもしれない
隣に並ぶ君を守るために
僕は何度でもゲームに参加しよう
tamito
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