足りない言葉
【詩】
ダメなんだ言葉が足りなくて
彼らを再構築するためにはあと
二千四百六十九の言葉が必要で
そのためにずっと探している
賑わう街に降る淋しさのなか
吹き溜まり折り重なる恋慕のなか
影のない道に座す悲しみのなか
朽ちた廃屋に眠る怒りのなか
誰かの言葉じゃダメなんだ
見えるものの先にあるひかりの階調
聴こえる悲鳴にかたちを成さない意味
そこにここにいたるところにある影
右手の人差し指関節が砕けるほどに
奥歯がかけるほどに食い縛り
崩れゆくこの星支えるあの男のように
終末に真実を吐き続ける気の触れたいつかの男のように
あらゆる自我と無我が身体を突き破り出た穴だらけの姿で
僕は西を向く言葉が色彩を持つはるか遠くの街に焦がれて
tamito
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