ほんとうに一人になりたいときは

【詩】

 

ほんとうに一人になりたいときは
衛星軌道に浮かび
膝を抱えて地球を眺める
そんなこどもみたいに
夜空を見あげ夢想する
誰も気にしないでと
古い歌口ずさんで

ほんとうに大切な気持ちは
井戸のなか深く沈め
叫ぶ声漏れぬよう蓋をする
そんなふうに息ひそめ
地熱だけで暖をとる
誰にも見つからないよう
草木の息づかいを聴く

ほんとうの静けさを探して
言葉の意味を見つめ
文字の群生する道をゆく
そんな時を止めるような
時を殺すような歩みで
誰にも背中押されぬよう
つり革の輪に手首入れる

ほんとうの光を欲して
頭を左右にふり
光源の在りかを探る
そんな誰かの路上の姿
滑稽なものと思うか
誰ともつながらず
光源を欲っする姿に

 

tamito

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