きっと嫌われちゃうね

【シークエンス】

　

さむっ！ さむっ！

そんな薄着でいるからだよ

だって、まだ八月だよ、小学生はぎり夏休みなんだよー

そうなんだよね、異常気象だよ

蝉だって、せっかく地上に出て来たのにひと鳴きもしないでコロリだよ、コロリ、コロリ、コロリだぜ、ぺっ

いきなり噛みたばこのイーストウッドなんだ、だいぶ機嫌がわるいね

出てくるタイミング逃して地中でまごまごしているやつらもいそうだぜ、ぺっ

かわいそうだよね、蝉たち

誰の仕業かな？

え、誰かの仕業なの？

誰の仕業かな？

え、え、もしかして僕にその答えを求めてる？

誰の仕業かな？

えーと、本棚の裏側にいる人たち的な誰かのこと？

誰の仕業かな？

……ぼくの仕業じゃないことだけは確かだよ。そんな大胆なことをできる性格じゃないこと知っているよね

ふーん、つまんない、もっと気の利いた答えはないの？

そんな、また、無茶なフリを

そうだね、きみの想像力に期待してはいけないよね、わたしが間違っていたよ、ごめんね

身も蓋もないね

わたし、きっと嫌われちゃうね

誰に？ ぼくはそんなことで嫌わないよ

きみのことは信じてる

じゃあ、誰に嫌われちゃうの？

外野でヤジを飛ばしてる人たち

え、ぼくたちのことを見守っている人たちのこと？

うん

そりゃあ、多少はきみのことをワガママだとか、ぼくのことを情けないとか思っているだろうけど…

ねぇ、やっぱり、わたしワガママかな？

…多少ね

でも、きみ以外の人にワガママなんて言わないよ

え……ちょっとうれしいんだけど、素直によろこんでいいのかな？

きみ以外の人には、ほんとうに親切でていねいでやさしいんだから

え……やっぱり素直によろこびにくいね

ほんとうだよ、信じてくれる？

う、うん、残念ながら信じざるを得ないかな

よかった、信じてもらえて、じゃ、わたし、行くね

ちょ、ちょっと待ってよ、結局、異常気象は誰の仕業なの？

ああ、わたしたち人類が地球を壊したツケがまわってきたのだから、わたしたちの仕業でしょ

あ、そっか

じゃ、今回はこんなところで！

ねぇ、その雑な感じはなに？ ねぇ、ほんとに嫌われちゃうよ、出番なくなるよ

　

tamito

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#小説 #いつものふたり