「ケモノ」たちの夕暮れ

【詩】


想像力の低下

自制心の欠如

そして自尊心ばかりが肥大した

「ヒト」以前の「ケモノ」たちが

我が物顔で通りの真ん中をゆく

見た目は「ヒト」のように振る舞うが

よくよく見ると瞳の構造が僅かに異なり

その視線には光も色もなくドロリとくすむ

「ケモノ」は単独で行動することができず

同じように瞳に光を持たない者たちとともに

実態なき「ツナガリ」という概念を信仰する

およそ「ヒト」には想像もつかないが

「ケモノ」はすでに世界の中枢にもいて

同じ瞳を集めて王国をつくりはじめている

「ケモノ」たちが増殖した遠く未来の

荒み果てた大地の行き止まりで

それでも沈む夕陽は美しいだろうか


tamito

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#詩

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