はじまりの場所に立って

【詩】

 

はじまりの場所に立って

街の喧騒を背に東を向く

あと何時間したら新しい陽が昇る

なくしたものを葬るのは時間ではなく

意思のちからだと東を向く

少年がいう「あきらめちゃだめだ」と

十二歳のきらめきで空を仰いで

いまにも翔びそうな肢体で

風の凪いだ海で舟が動きだすのを

ぼんやりと待つ人々の群れを

軽々と飛び越えてゆく

はじまりの場所に立って

 

tamito

作品一覧

#詩

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?