【詩】
重力にしばられて生きているぼくらは
こころさえも地に這いつくばって
1メートルわずか数十センチ
よろこびもかなしみもひしめいている
気圧に閉じこめられて喘いでいるぼくらは
空を見あげ宙に在る月に憧れて
1メートルわずか数十センチ
涙さえほうり投げることができない
此処にいて何処かの其れに焦がれて
足るを知らずに鼓動を早める
伝えたい思いが言葉をこえて
真冬の海にデバイスを凍結させる
ぼくらの意味のない自我が膝を抱える
ぼくらの意味のある自我が遠くを見つめる
白い煙が立ち上ぼり空に馴染んで
1メートルわずか数十センチ今日も
暮れる日をまた眺めている
tamito
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