【詩】
わすれものをした気がして振り返る
誰もいない家
夏の匂い
カーテンの隙間のひかり
みんなどこかへ行ってしまった
二重写しのような無人の街
何をわすれているのかわからない
ハンカチ
定期入れ
明け方の夢
懐かしい人たちが笑っていた
僕も一緒に笑っていた
どこにわすれてきたのかわからない
サイドテーブルのひきだし
地下鉄の網棚
アルバムの頁
顔のない誰かが寂しげに笑った
僕もつられて寂しげに笑った
わすれものをした気がして振り返る
誰もいない家
夏の匂い
カーテンの隙間のひかり
tamito
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