砂漠を歩く

【詩】


砂漠の民の少女の瞳に浮かぶ澄んだ湖に

吸い寄せられるよう僕は膝から崩れ落ち

力尽き倒れた果ての大地に包容を受ける

虚ろな脳が懸命に電気信号を送り続ける

「委ねる」ということの意味そして意義

反発する検事団が振りかざし並び立てる

正しい言葉たちは鏡のなかの見慣れた己

気がつけば検察側の証人となり立つ台で

自らが自らを告発しそして自ら弁護する

力尽き倒れた僕はもう砂漠を歩くことも

証言台に立つこともできないよと少女に

助け求め伸ばしかけた手がふと止まる間

この汚れた手で触れてはいけないとまだ

判るだけの己がいると大きく息をついて

もう一度果てしなく続く砂漠を歩き出す

証言できぬのであれば歩くほかはないと


tamito

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#詩

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