ほんとの自由の在りか
【詩】
ほんとの自由の在りかをしっている?
しっているはずなのにたどり着けない
しっているはずなのに手に獲れない
ほんとの自由は目に見えないだけど
閉じた瞼の裏ぼんやり映る
すぐそこにあること感じてる
ほんとの自由とほんとの不自由は
実は裏腹だって教えてくれたのは誰だっけ
きみのような気もするし
きみじゃないような気もする
世界史の教科書のある時代ある場所
ぼくは授業中そこへ行ったよ ほんとの自由探して
74頁と75頁の間にある扉をあけて
放課後の美術室 古いストーブ囲み
ほんとの自由を探した ぼくら
探しだした気がした ぼくらは
いま ぐるりまわりを見渡して
ほんとの自由を手にしてるように見える人がいて
ほんとの自由を手にしてないように見える人がいて
ほんとの自由なんてこの世界に存在しないと
あきらめてしまったように見える人がいて
そもそも「ほんと」なんて信じない人がいて
青空がほんとだということも
川の流れがほんとだということも
街を濡らす雨がほんとだということも
なんにも信じないように見える人がいて
悲しい気持ちで眺める そんな人びとを
ぼく自身だってもちろんそのどちらかまたは両方で
いつまでもほんとの自由の在りかを探したりあきらめたり
そもそも「ほんと」なんて信じなかったりする
そしてたまに誰かに尋ねたくなる
ほんとの自由の在りかをしっている?
tamito
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