【詩】
森に呼ばれて通勤電車の群れから外れ
ターミナル駅を下り列車に乗り換える
古くて新しい私鉄沿線の風景を車窓に
日常を一枚また一枚と脱ぎ捨ててゆく
終着駅の空は遥かに高く宇宙を透かし
100%のシアンが網膜を強く刺激する
森はいつもどおりに在りのままの姿で
鳥や虫や草木とともに生き続けている
記憶の奥深いところで既視感がうまれ
2枚のフィルムがぴたり重なるそして
ブロックノイズのように歪む色彩の中
きみのいない風景にきみの匂いがする
森がぼくを呼んだのか
きみがぼくを呼んだのか
tamito
作品一覧へ
#詩