水曜日の雨

【詩】

 

雨の降らない水曜日に

雨のにおい漂って

分厚い雲に覆われた空を見る

七年ぶりの水曜日の雨だ

最初の一滴見逃さないよう

瞬きもせず空を見あげる

通勤の波に押され

風が巻いて帽子を飛ばしても

じっと動かずアスファルトのうえ

いつまでも灰色の空見あげている

森の木々も道端の花も

蜜はこぶ蝶も昼寝の猫も

みんな雨が来ること知っている

永遠のような七年ぶりの雨を

一瞬のような七年ぶりの雨を

誰かの悲しみのような水曜日の雨を

誰かの喜びのような水曜日の雨を

 

tamito

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