【詩】
また夜が分断されている
死の使いの白く太ったねずみが
赤い目で部屋の隅から僕を見ている
感情の見えない視線ほど恐ろしいものはない
つい探してしまうあのロボットを
子供の頃いつも守ってくれたあのロボットを
彼がいなくなって僕は覚えたんだ
生まれて初めて孤独という痛みを
こんな分断された夜に
風がまったく吹かない夜に
家屋の軋む音が死の足音のように響きわたる
気づけばねずみが近づいている
役目を果たすためにじっくりと時間をかけて
眠れないし寝たフリもできない
これ以上 一歩も近づかれないよう
赤い目をじっと見つめながら
瞬きさえ忘れて 分断された夜に
tamito
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