約束

【詩】

 

大きな約束のために小さな約束を破る

人は約束に大小をつけては限られた時を過ごす

「仕事だから」「急用だから」「重要だから」

果たしてそうなのだろうかとふと思う

こどもの頃の約束は100%で小指を重ねた

破ったら針千本飲まなければならないルール

大人になっていつしか指切りをしなくなった

人はもっと小指を重ねるべきなのだ そして

約束を破るたびに千本の針を目の前に並べ

それを口に含み飲み込むことを想像すればいい

約束とはほんらいそういうものなのだ

交わされた約束に大小をつけることは

命の価値に上下をつけることに等しい

それを心底わかっている人でなければ

安易に約束など交わしてはいけないのだ

嘘や方便や偽りや欺きや安易さや不実さが

世の中の軸を少しずつ曲げてゆく

 

tamito

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