忘れてしまっただけなんだ
【詩】
いつものカウンターで最初の一杯を飲む
まだ外は明るく少しだけ罪悪感を覚える
アルコールが空腹の胃で吸収されすぐに
脳のある機能を麻痺させまた別の機能を
日常とはまた別のsenseを目覚めさせる
グラスの氷指でかき回しながら探してる
霧のなか形を成さない粒子を凝視してる
曲が鳴る連続写真のような光景が浮かぶ
二杯めの9千キロを旅してきた酒を飲む
考えるべきことはたくさんあるそんなの
ほんとうのことじゃないだから探してる
快速列車の風 タクシーのクラクション
朝露の緑 灼けた線路 陽炎の向こう側
忘れてしまっただけなんだみんな忘れて
何事もなかったかのように街を歩いてる
忘れてしまっただけなんだみんな忘れて
飽き足らないけれどそこに座ってるただ
胸の奥どこかに石ころを抱えてるいまも
tamito
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