タイムマシーンに乗って

【詩】

 

ぼくは案外不用意なところがあるから

本意ではない言葉をつかいきみを不快にさせたり

傷つけてしまうことがあるかもしれない

この歳になってもそうなのだから

たとえタイムマシーンに乗って

いつかのぼくにアドバイスしたとしてもやっぱり

いつかのきみがぼくのほんとうに気づくことはないだろうね

いくつの街角で何度すれ違ってきたのか

こうして時間経過つきgoogle mapで振り返るとよくわかる

きみとぼくは72回もこの街ですれ違っていたんだ

きみの発信する電波とぼくの発信する電波は

実に72回も同じ中継局に同時アクセスしていたんだよ

だからってそれを運命的だなんて思うほどぼくはロマンチストじゃない

それは行動パターンと確率の問題だからね

じゃあ、なんで

タイムマシーンや時間経過つきgoogle mapなんてものがつくられたのだろう

すべては過去を検証するだけで現在を変えることなんてできやしない

それに未来へ行くことは禁じられている

未来へ行った者たちは時間監理局に捕らわれて

記憶を消されたうえに時空の歪みのなかでぷかぷかと浮かんでいるらしい

だけどぼくはきみとぼくの未来を見てみたいから

こうしていまタイムマシーンに乗って

目盛りを三年後の2068年に合わせている

時間監理局に捕まるまえにたどり着けるだろうか

きみとぼくは手をつないでその先の未来を見つめているだろうか

このスイッチを入れればぼくのきみへの思いは消されてしまうだろうか、それとも

 

※続編を読む

 

tamito

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