雨の季節が過ぎたから

【詩】

 

雨の季節が過ぎたから旅に出る

日常という言葉が包括するすべてを捨てて

誰にも知られず承認を求めず

この世界にただひとりの自分を確かめる

山が燃えるように川の流れ穏やかに

高い空を旋回する鳥の群れ

田を焼く匂いの芳ばしさ

枠のない時間に佇んで

ひとりだけで見、聞き、感じる

手をつなぐ人のいない世界を

共感を語ることのない世界を

長い雨が過ぎ去って

ようやく乾いた心取り戻す

これがほんとうのわたしの世界ですと

 

tamito

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#詩

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