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戸田鳥
2015年8月11日 00:57
由衣が四年生まで住んでいた町には、空き地がたくさんあった。廃墟とも呼べそうな工場跡もあった。かつて病院の庭だったという荒れた公園などもあり、すべてが子供たちの遊び場だった。大人たちは、このさびれた工業地帯に時代の疲れを見ていたが、由衣たち子供にとっては生まれ育ったジャングルだった。それぞれの遊び場へ行くには、好んで路地裏を歩いた。古い木造家屋の狭い暗い隙間を、体が小さいがゆえに楽々と、時には迷