首相の息子か、首相秘書官か

 忘年会報道は、総理の息子と親族が、ついつい悪ノリしただけだと考えるなら、私はまぁ、いかにもありそうなことだという程度の感想だ。

総理大臣の親族だからといって、首相官邸で悪ノリなどしないほうがいい、ここは悪ノリできるような場所ではないという、倫理観を持ち合わせているなど、期待しない。

あぁ、親族がやっちゃいましたか。注意できる人がいなかったんだろうね、という程度。だが、親族の悪ノリですまないのが、首相の政務秘書官という、特別職国家公務員としての役職だろう。

親として成人であろうが子供を叱るのは、当然だろうが、これでは一般国民がどうではなく、他のスタッフに示しがつかないだろう。

本音で言うなら、そもそも、自分の息子に「政務秘書官」としての職を務めるに足る人格、政治知識が本当にあると思っているなら、すくなくともこれで「親ばか」だと、わかったはずだ。

もっとも、自分の跡目を継がせたいという「家業としての政治家」の後継者としたかったからこそ、経験を積ませる意味で秘書官に任命したのだと、個人的には確信している。それ自体の善悪はさておき、それならあくまで私費で雇うべきだろう。)

もし、これが岸田の息子でなければ、どれほど叩かれていたことかと、想像するに、本人も立派な成人なのだから、自分から辞職を願って当然だろう。それが親子の情で、互いにできないというなら、国政に親子の情などを持ち込まれてはたまったものではないということだ。

(もちろん、私自身、親子の情は大切だと思う。だが、それはあくまで、個人としての話。公に示しをつけることを、総理大臣ができないなら、もうそれは、公私混同というより、民主主義国家の原則すら危ぶまれる。親子だからこそ、逆に厳しく対処して当然。一方で、今の日本国民の何割かは、それくらいしかたがないだろう。いちいち目くじらたてるなと、考える人がいるのだろう。

権力の飼い犬であることに慣らされると、ご主人さまへの愛があまりにも大きく、ご主人さまが間違っても、おかしいと言えなくなるし、思わなくなる。そういうもんだろう。ご主人さまのご子息にも当然、敬意を払う必要があると考えるかもしれない。


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