LEVEL 1 「型を身につける」
Question
医学部五年生です。これまで回診時やカンファでのプレゼンで、上手く伝えたいことをまとめられずグダグダしてしまって苦手でした。最近はコロナで実習がオンライン化し、プレゼンをする機会もなくなってフィードバックもなく、このまま研修医になったらやばい気がするのですが、一人でもできる練習方法ってありますかね、、? [2021/08/12]
Answer
問われていることを整理します。
・プレゼンテーションについての質問
・特に回診時やカンファレンスのときに苦手意識を感じる。
・実習がオンラインで実施され、機会が減った。
・指導医からのフィードバックも無い状況である。
・一人でもできる練習方法
これらの要素を包括できるようなトレーニング方法を提案することをゴールとしたいのですが、うまく文章としてまとめる自信が既にありません。笑 でも、考察していく過程で見えてくることもあるはずなので、お付き合いいただけると嬉しいです。タイトルを「プレゼンテーション道」と称して、段階を踏んで一緒に考えていけたらと思っています。
プレゼンテーション道 LEVEL 1 型を身につける
まず、プレゼンテーションといえども、シーンによって大きく異なるということを理解することから始めます。
(1) ERで入院/帰宅の判断を上級医に相談するためのプレゼンテーション
(2) 緊急性をいち早く伝えるためのプレゼンテーション
(3) 教育カンファレンス内でのStudent Doctor/研修医のプレゼンテーション
(4) 回診時における指導医等へのStudent Doctor/研修医のプレゼンテーション
(5) 夜勤/土日祝日への申し送りのためのプレゼンテーション
(6) 多(他)職種カンファレンス等のショートプレゼンテーション
挙げるとキリが無いのですが、それぞれプレゼンテーション内に含めるべき情報・項目が異なるという点に注目したいです。例えば、(2)のシーンで、「現病歴ですが…」と言われてしまうと、助けられる患者に悪影響が出る可能性すらあります。
この中で、Student Doctorが実習中に出くわし、かつ、自身が発表の機会に恵まれるものとしては、(3),(4)が一般的でしょう。特に(3)については、多くの施設で古典的に実施されているパターンなので、ここに照準を当てて「プレゼンテーションの練習方法」について考察していきましょう。
学習者のレベルによって到達目標は変わってくると思いますが、臨床実習に参加したStudent Doctor全員が身につけるべきと考えられる要素は次の二つだと考えています。
① 症例プレゼンテーションの型に沿って必要事項を伝えられること
② 診療チームの輪の中に入ってプレゼンテーションする度胸と場数
この二点は必要最小限の要素だと私は思っています。型に沿うということは、医師の思考のフレームに当てはめて考えるということなので、実はとても重要です。通常、プレゼンテーションは「情報の入手しやすい/早く手に入る順」に情報を徐々に伝える手法を取ります。疾患特異性の高い情報は、最初のうちからは登場せず、病歴や理学所見といった手軽かつ低侵襲かつ時間的コストの低い情報から始めて診断推論に繋げていくという理に適った型となっています。
プレゼンテーションを聞く立場からすれば、この情報の配置が崩れると不自然さを覚えるわけです。現場で入手できる情報の順から逸脱すると「あれ?」ということになるのです。検査ひとつを例に取っても、なんでもかんでも検査で解決するかと言えば、そうではなくて基礎疾患や現在の訴え、診察で得られる理学所見が全体像や本質を語ってくれることも多いのです。また、検査によっては、時間的コスト・金銭的コスト・侵襲を伴うこともあるので、検査所見が配置されるのは理学所見の後であり、routine項目が先、追加で実施した疾患特異性の高い検査項目は後、という順序で並べます。
長い間、そして多くの地域・国で普及しているプレゼンテーションの型には、必然性や利便性が含まれています。まずは、臨床実習でその型をきっちりと身に付けることが重要ですし、そこをクリアするだけでも相当のレベルアップが期待されることでしょう。
----- LEVEL1 まとめ ------------------------------------------
○ プレゼンテーションのシーンに合った型を選んでいるか?
○ 型に則った情報提示ができているか?
----------------------------------------------------------------
🥤1本 → 短編記事1本 ☕️1杯 → 記事1本 🍽1食 → 記事3本 🎁1個 → リクエストに応じます! (記事内容をメッセージでお知らせ下さい)