かつて日本経済が絶好調の時、危機感を持ったアメリカの学者が日本を精緻に分析した本がある。
エズラ・F・ヴォーゲルの「ジャパン アズ ナンバーワン」だ。
今読み返してみると、当時日本の強みと言われた点は、官僚や企業でも大きく変貌しているように見える。
その中で政治のところで興味深い点があったので紹介したい。
新幹線の路線や駅設置など地方の利益誘導と呼ばれている政治的解決がある。
あまり政治的には誇れない問題だと思っていたが、見方によればアメリカより民主的であるという。
たしかに、日本では一方的に利益を独占すること美徳とはされない。
この公平な利益の分配のため、政治家は各方面の根回しをする。
そして官僚がどちらかといえば全体のバランスをとる側にまわる。
どうも日本の政治家は長期ビジョンを語るというより、かれの周りの関係団体の公平な利益配分を行うことに注力するようだ。
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日本は昔から災害が大きな脅威で、災害に出会うとすべてを失い、みんなゼロからの再スタートとなる。
戦争が主な脅威であった西洋と違い、相手は自然であり、その前では人間は無力である。
リーダーに求められるのは、皆と相談しながら協力して、再出発していくことなのかもしれない。
現下の能登の地震からの復旧をみているとそう思う。