見出し画像

ブロックチェーン(1):ケニアの農業保険

ブロックチェーン。
暗号資産(仮想通貨)の取引に使うイメージが強いが、いま経済活動の新たなインフラとして急速に進化しているという。
その先進地がアフリカだという。
つぎの日経新聞(2024年3月7日)の記事だ。

ケニアのトウモロコシ農家ポール・キオゴラさんは、長引く干ばつにあえいでいた。
「収入が途絶えてしまう」。不安を覚えていたとき、通知音が鳴った。
スマートフォンを見ると不作を補償する保険金約1万6000シリング(約1万7000円)が振り込まれていた。
キオゴラさんを救ったのは小規模農家向けの農作物保険の審査などを手掛けるエーカー・アフリカだ。
衛星データから土壌の水分量などを測定し、不作になりそうだと判定すると申請を待たず保険金を振り込む。
この保険は支払いの判断から入金までをすべてアルゴリズムが自動処理している。
ベースにあるのはブロックチェーン(分散型台帳)記述だ。
「農業保険には農家と代理店の間に根強い不信感があった。
だがブロックチェーンを使うことで、公正で透明性の高い仕組みが可能になった。」とユアン・ウィラー最高経営責任者(CEO)は話す。

(2024/3/7日本経済新聞 ブロックチェーン大陸アフリカ)

なぜアフリカの農家が損害保険に入れるのか。
ブロックチェーンが信頼をつくり出すからだ、という。
もう一度、いちから勉強だ。

ブロックチェーンの主な特徴は、まず分散されていること。
中心となるデータベースは世界中の参加者たちのコンピューターで動いているので、1台がだめになってもほかでカバーできる。

もう一つ大事な特徴はパブリックであること。
ネットワーク上に置いてあるから、いつでも誰でも自由に見られるし、データの正しさを検証できる。
どこかの機関が大事に管理しているわけではないということだ。

さらにブロックチェーンには、暗号技術を利用した高度なセキュリティが備わっている。
公開鍵と秘密鍵という2種類の鍵を利用して、自分の資産を確実に守ることが可能だ。
大事な情報が盗まれたり流出したりする心配もない。

(ブロックチェーン・レボリューション:ドン・タブスコットほか)

それが信頼にどう結びつくのか。
分散型信頼ネットワークをつくるからである。

ビットコインのネットワークではおよそ10分ごとに、まるで心臓の鼓動のように、情報が更新されて新たなブロックが誕生する。
新たなブロックには以前の取引記録のダイジェストが含まれており、少しでも矛盾があれば正当なブロックとは認められない。
いつの時点でどのような取引がおこなわれたかという記録が恒久的に残り、ひとつを変えようとすれば前の記録と整合性がとれなくなるので、データを改ざんすることは不可能に近い。
みんなが見ている前で、いくつものブロックを書き換える必要があるからだ。

ブロックチェーンにはどんな取引だって記録できる。
たとえば個人の出生や結婚、不動産の権利、出身大学、金融口座、入院・通院、保険金請求、選挙の投票、食品の生産地など、そこに何らかの取引があればブロックチェーンに記録することが可能だ。

(ブロックチェーン・レボリューション:ドン・タブスコットほか)

ビットコインなど暗号通貨でブロックチェーンが使われていることは知っていた。
しかし、それだけではない。
いろんな取引を記録できるのだ。
さらにインターネットの環境を根本から変えうるかもしれないという。
それは個人として好ましい方向だ。
ブロックチェーン技術を基盤する分散型ネットワーク環境をつくろうとする方向だ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?