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「さかざきまさき 第二回単独ライブ『補助席になりそうだ』」を観てきた日の日記

※この記事には単独ライブの内容の軽いネタバレが含まれております。配信は今のところ未定だそうですが、情報を入れたくない方はお気をつけください。
さかざきさんのnoteも合わせてご覧になるとよりわかりやすいと思います。

感想記事というよりは、日記です。


2024年4月30日、火曜日。
仕事を早上がりし、折り畳み傘をカバンに突っ込んで新宿に向かった。天気予報のアイコンは小さな傘マーク、私は厄年で雨女、さかざきさんも雨男。おそらく雨は降るだろう、と勝手に決めつけていた。

西部新宿駅を出た後、歌舞伎町タワーの”裏側”のあたりで、同じくさかざきさんの事が好きなフォロワーさんと合流し、会場である新宿バティオスの前で開場を待った。Tigetでの開場時間は19時だったのでその数分前には着いていたが、どうやら実際は19:15だったようで、ちょうど良いやとフォロワーさんと最近観たライブなどについてあれこれ話し続けた。

楽しいおしゃべりであっという間に時間は経って、開場が遅れても全然気にならなかった。(それに実質初めての単独ライブなのだから、遅れて当然と思っていた。)開場したあと、自由席だったので図々しくも最前列に座り、これから始まる単独ライブを全力で楽しむことにした。

言い訳をすると、コントの場合は座ったり寝転んだりするシーンの時にどうしても後ろのほうの席だと観にくい場合がある。また、せっかく小道具に粋で細かな仕掛けがしてあっても気付けない事もある。なので、コントがメインで"気合を入れたい"ライブは最前で観たいのである。
(座高が高いので後ろの席の皆さんには申し訳ないといつも思っている。)

らくちんペクチンのいしむらさんも言及していたし、さかざきさんも自身のnoteで書いていたが、少し"さかざきさんらしくない"テイストの曲が客入れ(開演前に客席で流れているBGM)で流れていて、てっきりスタッフの誰かが選んだのかと思っていたけど、さかざきさんの選曲だったそうだ。


「素晴らしき日々」(神門)
この曲はこのアニメーションも相まって、「さかざきさん"らしい"なあ」と思った。さかざきさんが描くような、日常のささやかだけど覚えていたくなるような出来事が詰まった曲。知れてよかったな。


「それでもいいならくれてやる」(関取花)
こちらはおそらく「これを聴くことでさかざきさんは励まされてきたんだろうな」と思った曲。私もちょっと刺さるところがある歌詞。いい曲だ。

開演時間になって流れてきたのは、キンモクセイの「さらば」だった。
さかざきさんの愛する作品のひとつ「あたしンち」のOP曲として使われていた曲で、
『いまここから、さかざきさんの世界が始まるんだな』と感じられる境界線となっていた。

始まりのシーンはとてもシンプルで、さかざきさんの日常生活をのぞき見しているかのような感覚すらあるものだった。
ゴミ袋を一枚だけ出そうと思ったら二枚出てしまって、『一度出てしまったゴミ袋は二度と元のように入れることはできない』ことを嘆くのだが、あるなぁと大笑いしてしまった。覆水盆に返らず、の新しい類語。

映像で出てきた家はさかざきさんがかつて一緒にルームシェアをしていた美咲天馬 天馬さんと明日野ヒロインさんの家で「いい具合に汚い」部屋だった。(エンディングのスタッフロールでも「汚部屋提供」として明日野さんがクレジットされていたので、こちらもそう言っていいと思っている)
やはりああいうのはリアルな生活感があればある場所ほど、SF(少しふしぎ)的で非現実的な設定も引き立って面白い。
途中でキョロちゃんのあれは単に自慢したかったんだろうな…笑

オープニング映像ではさかざきさんのこの単独に向けての作業を定点カメラで映していたが、作業をしているあいだもずっとその横のテレビでアニメを流しているところが好きだなあと思った。きっともうBGMとして流していても気が散らないくらいに何度も観ているんだろうな。私は好きなものや人が何年か経つと変わっていくタイプのオタクなので、同じものをずっと好きでいられるタイプの人をとても尊敬してしまう。

さかざきさんの作るコントはどれも、私たちが過ごす日常生活のどこかで引っかかる疑問や、自分が経験してきた小さな喜怒哀楽を丁寧に拾い上げて描いていると思った。
ちなみに私は服のネタと6本目のネタが好きだった。

現実離れした才能を持つ人や設定がコントの中に現れてもなお、そこには現実の私たちでも見覚えのあるような焦り・苛立ち・疑問などが巻き起こり、おろおろしたりドタバタしたり言い争ったりと人間味のある行動をする。その世界での「日常」の一部になっているのだろうなと思わされる。さかざきさんの愛する日常系のアニメのような。
特に6本目の長尺コントは、全コントの中でも特にファンタジーみが強い設定が現れるが、それなのにそれが少しリアリティさえある「日常」になっていくさまがすごかった。

さかざきさんは日々を過ごすなかで、こうなったらどうしよう…ああなったらどうしよう…と、リアルなものからファンタジーなものまで幅広く想像を膨らませるのが得意なんだろうなと思っている。
現実主義の人からしてみれば、「そんなこと考えたってどうしようもないじゃない」と思われてしまうような妄想/空想/想像をしがちな人というのは一定数いるが(私がそう)、さかざきさんはそういった考える力をこうしてネタに活かせているのだから素晴らしい。

それから全体を通しての伏線回収のような部分があったのも素晴らしかった。単独ライブならではの構成で、他では観られない特別感がそれによって生まれていた。(ああ、なるほどそこに出てくるか!)と何度も心の中の膝を打った。

幕間の映像もどれもすごかった。
台本を考えてアニメーションを作って効果音入れて声も吹き込んで(それを加工して)、たった数秒でも大変な作業なのにそれを数本も一人でこなしているのだから恐ろしい。
今回使われた映像の中には、幻となった第一回単独ライブで使う予定だったものも含まれていたようだ。日の目を浴びることができて本当によかった。


クラスの”四軍”の男子の会話は、ずっと聞いていたいような「良いくだらなさ」があって、人気があるというのも納得できる。


このツイートに貼られている4軍男子たちの動画がエンディング映像のスタッフロールで使われていた。
これも第一回単独ライブのためのものだったのだろう。それがきちんと第二回の今回で使われていたことが嬉しかった。

引っ張り出されてしまったゴミ袋は完全に元の姿に戻すことはできないけれど、丁寧にしまえば袋の中には収まるし、収まらなかったとしてもいつかは結局使うのだから取り出したことに意味はある。
さかざきさんが初回単独のために用意していた映像やネタは当初の理想とした形で披露することは出来なかったにせよ、この第二回の単独でしっかり使われ、ウケをとってその役目を果たせた。
さかざきさんの今までの半生も、たとえツイてない事が多くて挫折もあって自分の理想の形にならなくても、それを笑い話に変えて、エピソードトークの宝の山にしてきた。
何度転んでも、足が止まっても、また走り出す様を見せてくれる努力のひとだからこそ、私達も芸人さんたちもさかざきさんの事を応援したいと思うのだと考えている。

エンドロールに流れる映像には、幻の初回単独が中止になってから今回また開催するまでの様子が少し挟まれていた。
上記のツイートや、いろんな芸人さんたちからの励ましのLINEの文面などは見ていて胸から喉にかけて熱いものがグッと来た。
それらの映像が挟まれてたのはきっと、さかざきさんから応援してくれた芸人さんや色んな人への感謝の気持ちがあったのだと感じとった。

スタッフロールでは夕陽に向かって走る4軍たちの映像ともに、never young beachの『明るい未来』が流れていた。

ハナコの岡部さんがこの曲を好きで昔どこかで歌ってたな、なんて考えながら聴いていたけれど、
たくさんの協力してくれた人たちの名前が流れるスタッフロールともに『いつまでも側にいてくれよ』という歌が流れるのは、沁みるものがあった。
エンドロールの最後のシーンは最初のコントで使うヒーロースーツをさかざきさんがひとりで着るところだった。
背中の、本来誰かにあげてもらわないと難しいようなチャックをひとりで上げきり準備をする様が、今回支えてくれた人達に対して『もう一人で大丈夫』と伝えてるような気がした……けど、それはおそらく私の無駄な深読みだと思う。

さかざきさんの人生はこれから先もツイてないことがあるかもしれない。でもだからこそ誰かに優しくできるし、自分を大切にしてくれた人への感謝を忘れない。
さかざきさんの周りには頼れる人たちが沢山いる。明るい未来がきっと待っている。
客席にいるたくさんの芸人さんたちからの大きな拍手を受け、照れくさそうに、でもホッとした様子で挨拶をするさかざきさんを観て、胸が一杯になったのだった。

会場では初回単独の際に売るはずだったステッカーと、オリジナルのさかざきさんのプロ野球カードが販売されていた。もちろん買った。
出遅れて一種類売り切れてたのが残念なところだ。

プロ野球カードは裏面もしっかり作ってあった

帰り道、フォロワーさんとあれこれ話しながら新宿駅まで行き、別れて電車に乗り、地元の駅に着いたところで、そういえば今日は一度も傘を開かなかったなと気づいた。

私もなかなかにツイてない方の人間だが、そういう人生だったとしても『いい人生だったな』と最後に思うには、毎日のどこかで出会える小さな幸せや面白かった出来事を大切にすることがコツなんだろうな。さかざきさんのネタにそう教わったような気がした。だから、この日記にもあの日傘を開かずに済んだことと、夜風が心地よかったことも記しておこうと思う。


(みなさんへ)
単独は配信はまだ予定されてないのですが、是非ともまた観たいので配信をしてほしいものです。これを読んだ方で単独に行けなかった方、ぜひTwitterの空リプで良いんでさかざきさんにアピールしてください。要望が多ければ配信するかもしれないそうなので。よろしくお願いします。


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