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botaroo
歴史に「もしも」はないと言うけれど。
おじいちゃんに召集令状が届いたのは19歳のときだった。
訓練しているあいだに終戦になったので、実際に戦地に行くことはなかったらしい。
でももしおじいちゃんが戦争に出てそのまま帰って来なかったとしたら、私は今ここにはいない。
この話を聞いたのは私が小学生の時だ。
「おじいちゃんはラッキーだったんだな」と軽く考えるだけだったように思う。
年月が経ち、私は大人になった。
結婚して子どもが生まれた。
その子どもも成長して10代になった。
子どものこれからの人生を考えることも増えた。
そんな時、ふと思いを巡らす。
19歳で召集されたおじいちゃんのことを。
おじいちゃんは結果的に戦争には参加しなかった。
歴史に「もしも」はないと言うけれど、それでも考えてしまう。
もしおじいちゃんが戦地に出ていたとしたら。
もしそのまま帰って来なかったとしたら。
「遊園地に行こう」と繋いでくれたあの手は、私が思っている以上に貴重なものだったんじゃないだろうか。
ラッキーの一言だけでは片づけられない何かが、今の私を繋いでいる。
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