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犬とうさぎは仲良くしたほうがいいですか?


<紹介することのリスク、考えてるのかな>

テレビやネットではわりとよく、うさぎ(などの小動物)と犬や猫が仲良くしているエピソードを見かけることがありますね。「ほっこり」なんていうほのぼのした見出しがついていたりします。捕食動物と被捕食動物が仲良くしているだなんてまるで絵本の世界のようでほほえましいですし、強い者と弱い者が共生している姿はまさに「平和」。……なのですが、やっぱりどうしてもハラハラします。

「うちはうまくいっている」というご家庭を頭ごなしに否定する気はないんです。実際にうまくいっていて、お互いにストレスを感じておらず、生涯、問題が起きないこともあるのでしょう。実際にそれぞれの動物がどう思っているかはわからないですしね。

でも、「どこのおうちでもうまくいくわけではない」ということは理解しておかないとなりませんね。「うちもやってみたい」と思って捕食動物と被捕食動物を接触させるのは、不幸な事故につながる危険が大きいです。とても怖いことです。

こうした「ほのぼのネタ」を紹介する側の人たちには、「安易にマネをされるリスク」があるのだということも重々、理解したうえで、「これは特別な例だということ」「安易にマネをしてはいけないのだということ」もちゃんと伝えてほしいものだと思います。

以前にあげた記事ですが、やっぱりこういう資格、本当に必要なんじゃないかと考えてしまいます。

<動物へのリスペクトがない、のでは?>

個人的な考えなのですが、捕食動物と被捕食動物を仲良くさせようとするのは、被捕食動物にとって危険だということとは別に、「動物への敬意がない」のでは、と思ってしまうのです。捕食動物は捕食動物として進化してきているわけじゃないですか。被捕食動物を獲物にできる能力があるということです。そこに目をつぶっちゃいけないのでは、と。被捕食動物でいえば捕食動物から逃げる能力。それらは理解すべきだし、敬意を持ちたいものだと思ったりします。

しつけをすれば「うちにいるこの子はお友達。攻撃したらダメ」ということは学習できると思うんです。でも被捕食動物のほうだって本能的に、自分の天敵なんだと理解しているんだろうなと思います。

飼育下で、捕食動物と被捕食動物がうまくいっているとしたら、絶妙な距離感が保てているからなんだろうと思います。互いに、「ここまで」っていうのもあるんだろうと思います。でも、なにかちょっとでもそのバランスが崩れるようなことがあると、被捕食動物は捕食動物の攻撃のターゲットになってしまうのではないでしょうか。

捕食動物は昨日今日捕食動物になったんじゃないわけで。

<避けようがない事故だってある>

ましてや、よその動物との間であれば距離感もバランスもあったものではありません。

うさぎが犬に噛まれて死んでしまった、という事件が起きることは実際にあります。先日ラジオで紹介されていたエピソードで「散歩中のトイプードルの首輪が外れて走っていった先には、散歩中のうさぎがいた(寸前でそれぞれの飼い主が止められたようです)」というものがありました。止めるのが遅かったら大事故が起きていたんでしょう。

うさぎの屋外散歩(うさんぽ)にはこういったリスクもあるから(ほかにもいろいろリスクはある)、「安全対策ができている自宅の庭」のようなところじゃない限りは、おすすめできないんですよね。

うさぎが犬に噛まれたとしたら、直接の被害者はうさぎで加害者は犬ということになるけれど、犬にとっては自然な行動であって責められるものではないし、犬の飼い主だってそこまで考えなくてはならない義務はない(犬をけしかけた、となれば話は別だけど)。リスクを避けることができたのは、うさぎの飼い主だけなんですよね。

猫はそもそも狩猟本能が買われて人が人間社会に招き入れた動物だし、犬も狩猟本能がもともとあるうえ、多くの犬種は猟犬として作出されているわけです。そこは忘れちゃいけないです。

<多くの犬は猟犬として作られた犬種>

日本で登録数の多い犬種の上位3犬種はずっとプードルとチワワとダックスフンドが続いています。

プードルも、もともとは猟犬としてつくられた品種なんですよね。プードル(スタンダード)は水辺での狩りで獲物を回収する仕事をしていて、独特のトリミング(テディベアカットじゃなくて昔ながらのスタイルのほうね)も、胸の部分の毛を刈らないで残しているのは水中で心臓を守るためだそうです。多く飼われているのはトイプードルで愛玩用に小型化したものだけど、プードルであることに違いはありません。

ダックスフンドはなんで胴長短足かといえばアナグマ狩りのためで、小型のダックスフンドはもっと小さい穴暮らしの動物、うさぎなどを狩るために品種改良されたわけです。

チワワの歴史は諸説あるようですが、猟犬としてつくられたのではなさそうです。とはいえ犬ですからね。もとをたどれば狼です。

(話は全然違いますけど、2023年の登録数の10位にゴールデン・レトリバーが入っているのですが、大型犬がランクインするのは久々なんですよね。小型犬ブームから大型犬への揺り戻しがあるんだろうか?)

うさぎが犬に噛まれたとか、ハムスターが猫に噛まれたとか、そういうことがなくなってくれるといいなと思っています。

(自分の家で起きたこととして、シマリスがハムスターをケガさせてしまったという経験もあります。小動物同士だって危険です)

ではまた。

トップ画像はイラストACより。

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