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キウイなくて下げりシャス?
「キウイ食って〜上げりシャスゥ〜♪」
で、お馴染みのキウイブラザーズをご存知ですか?
僕はあのCM、と言うよりあのキウイブラザーズにすっかり心を奪われてしまった。
そんなキウイブラザーズのポーチが、セブンイレブン限定の雑誌のおまけとしてゲットできるとの情報を手に入れた。
久しぶりの晴れの日の休みということで、散歩がてらセブンイレブンを目指した。
「この辺は田舎だし、すぐにゲットできるだろー」
そんな甘い考えを抱きながら、僕は歩いた。
しかし、この考えはキウイより甘かった。
セブンイレブンに着いた僕は驚いた。
雑誌コーナーで「キウイないかぁ」と言いながら雑誌を漁ったり、店員さんに「キウイの雑誌ないですか?」と聞いたり、そんな人が4〜5人程いた。
この間、わずか20秒ほどの出来事だ。
もう一度言うが、僕が行ったセブンイレブンは田舎の住宅街のセブイレだ。
こんなことなら都会のセブンイレブンでは長蛇の列が出来ていてもおかしくないだろう。
そんなキウイ人気に圧倒された僕はしばらく「キウイなくて下げりシャス」だったが、もうさっぱりキウイのことは忘れて普通の散歩に切り替えた。
セブンイレブンに行ったせいもあり、いつもの散歩コースとは違う散歩だ。
特に面白いものもなく、さらに「下げりシャス」になりそうだった僕の目にあるものが飛び込んできた。
それは、店の前の食品サンプルの色が日光で飛んでしまって、この上なく不味そうになっている残念な喫茶店だ。
残念な喫茶店とは言ってしまったが、僕はこんな喫茶店が大好きなのだ。
さっきまで「下げりシャス」だった僕は一転して尻尾を振りながらその店に入った。
その店は昭和の雰囲気が残っていて、超レトロ。
雑誌を読みながらコーヒーを飲むおじさん。
スポーツ新聞を見ながらタバコを吸うおじさん。
何かを話しているサラリーマンの二人組。
話し方も見た目も、どう見ても海原やすよともこにしか見えないおばさん二人組。
本棚にはこれまた日に焼けて色が抜けたマンガ達。
驚いたのが、この店を営んでいる老夫婦はマスクをしていない。
どこを切り取っても昭和にタイムスリップしたようにしか思えない空間に、僕は思わず頬をポリポリ掻いた。
「店の扉をくぐった瞬間に時空が歪んで…」などと考えながら、ふと見た本棚には「鬼滅の刃」が全巻並んでいたため、今が令和であることを確信し安心した。
話は変わるが、僕は喫茶店のミックスジュースが大好きだ。
喫茶店のミックスジュースには大きく分けて2種類あることを皆さんにはご存知ですか?
バナナ味が強めのミックスジュースと、柑橘系が強めのミックスジュースだ。
ちなみに僕は柑橘系が強めのミックスジュースが大好きなのだ。
話を戻そう。
僕はこの店のミックスジュースが柑橘系が強めのミックスジュースであることを期待しながら、ミックスジュースを注文した。
ミックスジュースを作ってくれているお婆さんが相変わらずノーマスクなのと、後ろに座っていた海原やすよともこ似のおばさんが「脂肪吸引しようか迷ってる」と話していたのが気になって仕方なかったが、気にしてないフリをした。
そんな時間もあっという間で、今度はマスクをしていないおじいさんがミックスジュースを届けてくれた。
そのミックスジュース、僕は見ただけで分かった。
「これは柑橘系のミックスジュースだ!」
この時点で僕は完全に「上げりシャス」
思わず踊り出しそうになった僕の顔は、きっとニヤニヤしていただろう。
もしキウイブラザーズのポーチがゲット出来ていたら、この昭和感に溢れる喫茶店と美味しいミックスジュースには出会えていなかっただろう。
最初の目当てと違っても、小さな幸せは案外どこにでも転がっているものなのかもしれない。
そんなことを少し思った午後でした。
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