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元おにぎり職人のつぶやき🍙

前職では、コンビニエンスストアの店内調理専門部門で累計1,000個以上のおにぎりを握った経験から、おにぎりに対して並々ならぬ思い入れがあります。

最近色んな方のnoteを見ていると、代表的なnoteってあるな〜と思い、自分に当てはめると「おにぎり」だなという事で書いてます。

前職についてはコチラ


おにぎりとは

おにぎり[1](御握り)は、ご飯を三角形・俵形・球状などに加圧成型した食べ物である。通常は掌(てのひら)に載る程度の大きさに作る。「にぎり[2]」「握り飯(にぎりめし)[3][4][5][6][7][8]」「握飯(にぎりめし、にぎりいい)[9][2]」、「むすび[10]」「おむすび[10](御結び)」「おつくね[6]」などともいう。

携行性に優れており、手づかみで食べられることから、日本で古くから今日に至るまで携行食や弁当として重宝されている。

元々は残り飯の保存や携行食として発達したが、その後は常食としてのおにぎりが主流となり、現代ではコンビニエンスストアやスーパーマーケットでも販売されている。携行する必要がない居酒屋や定食屋でも提供されるほど、日本の食文化に定着している。日本のコンビニエンスストアや外食・中食店の海外進出、日本滞在経験を持つ外国人の増加に伴い、世界各国でおにぎりが販売されるようになっている[注 1]。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

そうなんですよ。コンビニでおにぎりといえば定番で、店内調理においても温かいおにぎりは人気商品です。カップラーメンや惣菜との組み合わせとして無くてはならない存在ですよね。


コンビニにおける店内調理商品の位置付け

コンビニがなぜナショナルブランドの商品(コカ・コーラ、カップヌードル等)ばかりでなく、店内調理の商品を頑張るのかというと粗利益率が高いからです。

一般的に粗利益率が30%のコンビニの中で、店内調理には約40%以上の商品もあり、売れば売るだけ儲かるので力も入りますよね。ちなみに話は逸れますが、コンビニコーヒーは粗利率が50%以上あるのは有名な話で、あの省スペースでほぼセルフサービスなのにバンバン売れるという近年のコンビニでは誰もが認めるウルトラヒット商品でしょう。

ファミリーマートのファスト・フードの粗利益率は顕著に高いのが分かりますね

★流通情報_№541.indb (dei.or.jp)


商業用マニュアルとの出会い

新卒で入社した会社では、名刺の渡し方や電話の取り方といった社会人マナーに関するマニュアルが沢山ありました。ただ、店内調理専門部署へ配属されてすぐ渡された、商業用に商品を製造する為のマニュアルは非常に学びとなりました。

詳細はここに記載する事は出来ませんが、全ての食材に対して1グラム単位のレシピが設けられ、それをスケールを使って計測して、歩留まりは幾らまでと規定されていた。加えて、商業用に可能な限り長い時間販売する為に、食材に触れる物には全てアルコール消毒をしたり、使い捨てのビニール手袋を使用する等の徹底ぶりでした。それらのマニュアルが紙媒体とビデオで用意されていました。

そして、上記のレシピや衛生管理だけでなく、製造可能量=製造時間の為、製造スピードを向上する為のアイディアも網羅されていました。例えば、完成品に貼り付けるシールを1個ずつではなく、あらかじめ全てに貼り付ける事でビニール手袋の付け替え回数を減らしたり、製造中に食材の補充をする時間ロスを防ぐ為に、製造終了後の棚卸時に補充作業も組み込む等の細部に渡りました。

意外だった点としては、具材の計量という作業が時間をロスする割合として最も大きい事でした。会社によって既に計量済みの小分けの具材を店舗へ納品している所もあると思いますが、前職では極力包丁を使わないようにカット済みではあるものの、基本的にはスケールで1食分ずつ計量をしていました。

例えば、ご飯の計量については200グラムという規定された重さに可能な限り近づけるのは慣れない内は至難の業です。是非ご自身でスケールの上にお茶碗を乗せて200グラムのご飯を計量してみて下さい。10グラムの違いはご飯粒でいうと数粒の差しかありません。この時間のロスを解消する為に、様々なメーカーから自動計量器なるものを取り寄せて試してみましたが、結果としては人間の感覚の方が遥かに精微で、熟練した方の計量スピードは機械をも凌ぐ事が分かりました。

他にも、おにぎりの均質化を図るために「型」というのを導入していました。それは特許を取っていたかなと思いますが、同時に数個のおにぎりを7割くらいの完成度まで製造できるため、あとは形を整える程度だけ握るという便利なツールでした。研修を受けた人の半分以上の方が「欲しい」と言っていました。


おにぎり職人になるまで

上記の様なマニュアルを覚えただけでは、当然おにぎりをスピーディーに美しく製造出来るようになる訳ではありません。あとは実践あるのみ。

最初の数日は社内にあるキッチンで練習した後、売上トップの店へ武者修行に向かいました。まずは習った通りにがむしゃらに握ってみるものの、全く戦力になる訳もなく、他の商品の製造サポートをメインでやっていました。ただ、その間にもベテランの方のおにぎり製造をつぶさに観察していました。

その観察を通して、製造スピードを向上させる為の要素分解をしていました。具体的には、①製造前の準備、②一つ一つのアクションの見直し、③ご飯一粒あたりの計量精度の向上に分けて考えました。

①製造前の準備:やはり、どのような業務でも準備が肝心要です。これが不十分だと、ビニール手袋をはめた後に忘れていた道具を取り出すために脱いだり、最悪の場合だと事故に繋がる可能性もあります。全ての作業の最初から最後までを想定した物の配置、動線の確保は基本にして最重要です。

②一つ一つのアクションの見直し:それぞれのアクションは数秒ですが、それが製造する度に積み重なると膨大なロスとなってしまいます。例えば、アルコール消毒を小さく2回スプレーするのではなく、1回のスプレーでしっかりとアルコール消毒する等、自分のアクションを見直しました。

③ご飯一粒あたりの計量精度の向上:これは本当に身体で覚えるしかありませんでした。計量する度に「これで10グラム」「これが5グラム」と試行錯誤を繰り返し、最終的にはズレは3グラム前後まで精度が向上されました。自宅でも自主練していた記憶があります。

この時の経験から、物事を構造的に捉える分からない事はそれに精通した方に直接教えてもらうといった、自分の基礎的な思考・行動を構成しているなと思います。


オススメのおにぎり具材

おにぎりの具材に関して、定期的に新製品が発売されていた為、様々なものを試した結果、当時から現在に至るまでの自分の中でのベスト3を以下にご紹介します。

第1位:おかかマヨネーズ
具材は、鰹節、マヨネーズ、めんつゆを混ぜて完成。鰹節のイノシン酸とめんつゆに含まれるグルタミン酸との相乗効果。美味いに決まってる。

第2位:たぬきおにぎり
具材は、塩昆布、みじん切りの長ネギ、白ごま、揚げ玉、めんつゆ(少量)。ボウルに入れたご飯とよく混ぜて握る。海苔をつければ完成。一時期流行った悪魔のおにぎり?とほぼ同じ。

第3位:鮭マヨネーズ
具材は、鮭フレーク、マヨネーズ、一味唐辛子(明太子であれば尚可)を混ぜて完成。辛み成分が加わるとグッと深みが増します。お子さんには鮭フレークとマヨネーズだけでも十分美味しいです。

冷蔵庫に必ずあるとは言いませんが、買い揃えやすいものばかりだと思います。是非お試しあれ。


私のおにぎりの作り方

商業用おにぎりについてはこれ位にして、そのノウハウを家庭用へ普段転用している点を共有します。

①まずラップを平らな場所に広げる。
②そこへ塩を均等になるように軽く2振り。
※ご飯と海苔だけの部分も美味しく食べられるポイント。
③ご飯を約200グラム潰さないように平らに広げる。
④その真ん中に好みの具材を乗せる。
⑤具材を包み込むようにご飯を軽く丸める。
⑥左手の腹で三角の底辺の外側をしっかりと握りつつ、右手は三角の上二辺に添えるだけ!真ん中は抑える程度でフワッと。
※おにぎりを持った時には崩れないが、食べる時は固過ぎないという絶妙な握り加減。
⑦綺麗な三角形が出来たら、半分に切った海苔の中央におにぎりの底辺を乗せて、海苔の四隅を内側に畳んで完成です。

完成品

学生時代に飲食店でアルバイトをした事が無かった自分にとって、自らの手で製造した商品に対して、お客さんがお金を払って、美味しいと食べてもらえた経験は、今振り返ると非常に得難い経験だったと思います。

このおにぎりを製造するスキル自体は、今の会社で特段役立つ事はありませんが、自分の子供への効果は絶大です。もし、お茶碗に盛られたご飯を残しても、私が一度おにぎりにするとペロリと平らげてしまう。むしろ、「もう一個」と言われる位の不思議な力があります。

もし、お子さんがなかなかご飯を食べない時には、是非「おにぎり」を握ってあげて下さい。

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