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採用を1人でやる時の応募者心理(CandidateJourneyMap)の考え方

「採用に強い会社は何をしているか」という本を改めて読み返している。この本は、採用活動を「出会う」「見立てる」「結ばれる」という3つのフェーズで分類し、それぞれのフェーズでどう取り組むべきかについて網羅的に書かれている。

「出会う」は文字通り候補者と出会うこと。

「見立てる」は候補者が自社にとって本当に合う人材なのかを考えること。

「結ばれる」は候補者に入社決意をしてもらうこと。

長い人生でそう何回も行わない就職活動で、自分の人生の時間を何に投資するかを決めてもらうのだから、より納得のいく形で決めて欲しいと思いながら、僕はこれまで採用活動に取り組んでいた。

ただし、1人で採用活動を回す時、なかなか全てのことをやりきれない。チラシを作るのも手間だし、説明会やイベントの企画・準備、人をアサインすることだって大変だ。特に人を巻き込んで何かを進めることがそこまで得意ではなかった。

なので、基本的には1人で出来る範囲で採用を進めていた。その結果、そこで得た知見を紹介できたらと思う。

会社のコアバリューって何なのかをまず考える

まずは、採用をするにあたって、自分の会社はいいところだと伝えたい。では、具体的にその「いいところ」って何なのか。自分たちが知らないだけでそれぞれの会社ごとに、良い特徴があるものだ。

各企業ごとに独自の提供価値(コアバリュー)があるはずだと思う。「Small Giant」という本では、独自のポジションを築いてきた企業が持つ独特の価値観のことを「Mojo」と呼んでいた。

なので、最初に今の会社に入った時に思ったことは、この会社の「Mojo」だと思われる価値観って何なのか、だった。「転職の思考法」を書いた北野唯我さんは、「原液」だと言っていたけど、同じことだ。

僕は、「モモ」を量産していることが今の会社の「Mojo」だと思ったので、それを裏テーマに、Wantedlyの記事を書いたり、候補者に会ったり、会社のビジョンとなる文章を考えたりした。

作っているプロダクトが人の本来の繋がりを思い出させてくれる「モモ」の様な存在だと思ったから。

そして、実際に全ての人に聞いたわけではないが、家族のことが好きそうか、人間のことが好きそうかどうかをとても意識して候補者に会っていた。

なので、採用活動を0から始めてすぐに自然と良い人に「出会い」「見立てる」ことが出来たのではないかと思う。

明文化して伝えなくても、ミニマムな採用活動一つ一つに価値判断を織り込むことで、「出会う」「見立てる」のフェーズがよりクリアになるのではないだろうか。

出来るだけ人の良いところを沢山見つける

採用活動を始めた当初は、面接を行う際の指標も何も分かっていなかったので、とにかく偏見が無いように接することだけを意識した。

それでもきっと偏見は生まれてしまうのではないか、ということも覚悟した。

Wantedlyなどで公開されているそれぞれの人の情報を読んだり、履歴書や職務経歴書を何人も読んでいると、だんだん癖や傾向が分かってくる。その人の経験や知識、技能について。

でも、最も大事なことは、今の能力ではなくて、誰かのために能力を発揮したいと願う熱量であって、必ずしも能力的に優秀であることが前提条件では無い。

最近見かけた以下のツイートが、その一例だと思う。

特に、その人の良いところに気づいていくうちに、面接官は候補者のファンになっていくことが多い。

逆にいうと、面接官はファンになっていれば、その人が候補者でなくなったとしても、緩やかな付き合いをSNSで継続することも出来るかもしれない。

緩やかな付き合いを続けることで、その人が潜在候補者になりうるかも知れない。(期待し過ぎてはいけない)

心理的安全性は個別なので、それぞれのポイントを意識する

面接が回数を重ねて、会ってコミュニケーションをとる頻度が増えるほど、その人が何に困っていて、何をモチベーションに頑張る人なのかを観察できる。

なので、履歴書や職務経歴書の流れをもとに、今この人が気にしそうなポイントはここだろう、という点を意識して面談した。

自分はあまり多く話す人ではないので、きちんと傾聴し、その人が大切にしていそうな価値観を引き出せそうな質問をした。(なので、相手が本音を開示しない人だと、この手段はうまくいかない) 自分はビズリーチの事例でいうフォロワータイプの面接官だと思う。(以下参照↓)

長く別の職種でキャリアを積んできた人なら、自社のポジションで活かせそうなコンピテンシーと考え方を一緒に考えてみたり、

直近では大手での経験年数が多いが、実はベンチャーマインドが強い人には、同じチームで長期で取り組む場所を探していませんか?と聞いてみたりした。

大切な価値観を握っておくと、採用選考の中で心理的安全性を維持しやすいのでは無いかと思った。そして、会社紹介をする際に、自分達の「Mojo」が意識できると、自然と言葉や説明の内容が洗練されていくのだと思う。

自分なりのCandidate Journey Map

先述の本に書かれているCandidate Journey Mapは、「出会う・探す」「足を運んで調べる」「比較検討する」「意思決定する」の4つのフェーズに分かれている。

このCandidate Journey(候補者の旅)のゴールは「自分の新たな職場、キャリアを決めること」で、その道のりで候補者がそれぞれに描くゴールまでのストーリーがある。その為の納得のいく理由が候補者には欲しい。

逆にいうと理由が決まり、ストーリーが決まれば、候補者が簡単にそのストーリーを変えることは無いだろう。

なので、「見立てる」際に、適切な言葉を候補者にかけることで、「結ばれる」可能性が高くなるのではないかと思う。

まとめ

1人で採用をする時、時間が限られている。

なので、以下のことを改めて考えてみたらどうだろうか。

①会社のコアバリュー(一番良いところ)を自分で納得するまで考える 
②候補者の良いところを出来るだけ沢山探す
③候補者が面接に向かう際の心理的安全性を出来るだけ担保する
④候補者が次のキャリアを決める際の尤もらしいストーリーを仮定し、出来れば伴走する

これが全ての人に出来ていたか、実際にその通りに対応出来ていたかは分からないけれど、意識していたことを分解するとこのようなことだったんじゃないかと思う。

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