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映画感想

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わたしのみた映画たち
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#家族

「ボヘミアン・ラプソディ」:ダダッダ・ダダッダ

11月24日、大絶賛されているボヘミアン・ラプソディをみにいった。その日は、フレディ・マーキュリーの命日だったと帰りの電車で知った。 クイーンという家族のメンバーがみんな、かっこよかった。ほんとに素敵なファミリーだと思った。私は血縁関係とは別のかたちでつながった家族に関心が強く、こうした家族のようなチームには胸が熱くなる。 最後のLIVE AIDのシーンで、はじめてクイーンの曲の歌詞をきちんと聴いた。死と生を歌っていて、とても心に響いた。 I dont want t

「そして父になる」:遺伝子か時間か

10月5日、池袋の新文芸坐にて、是枝裕和監督の映画特集やっていたので「そして父になる」をみてきました。 よい映画でした。 号泣したときのために端っこに座っておいてよかったです。 子どもの取り違え問題を題材に、親子の関係や人間の人格形成について考えさせられる作品です。 全体を通して、「家族を家族たらしめるのは遺伝子か時間か……」そんな問いが巡っていました。 極端に言えば、自分を満たすためのひとつの道具のように息子をみる父親。息子に対する期待はあっても、そこに息子の存在そ

「バケモノの子」:心の闇は誰にでもある

心の闇。ぽっかり空いた心の穴。 それがこの映画の主題だと思う。 九太(蓮)は、幼少期に母を交通事故で亡くし、父は音信不通に。孤独に苛まれて泣いていた。 そこに手を差し伸べたのがバケモノの世界で生きる熊徹。強さを求めて熊徹のもとで修行することを決意したキュータは熊徹とともに切磋琢磨し、日々成長していく。 しかし、バケモノの世界で人間は危険な存在だった。 なぜか。 人間はみな心の闇を抱えていて、その闇に飲み込まれたとき、とてつもなく恐ろしい存在になるからだという。

「wonder」:#choosekind

最近みている映画は、「The・悪人」があまり出てこない。 今回の映画もそうだった。 主人公は、生まれてから顔の手術を何度もした、オギーという少年。 だけど、オギーを取り巻く一人ひとりにも物語があるんだよ、と伝わってくる構成だった。 映画の舞台は、学校。 くっついたりシカトしたり、その場の流れでつい友人の悪口を言ってしまったり――。 そんな残酷だけど、よくある学校という“世界”の話だ。 そこでは、多くの場合、見た目やキャラクターでスクールカーストが形成される。そんな暗

「メゾン・ド・ヒミコ」:欲望がほしいんだよ。

「欲望がほしいんだよ」 オダギリジョー演じる春彦は、恋人であるヒミコが死に近づいていく中で、生きるための欲望がほしい、と言います。 「刺激がほしい」という言葉はよく聞きますが、それはつまり「欲望がほしい」ということなのかもと思いました。「欲望がほしい」という言葉の方が的を得ているのではないか、と。 とくに、生きる気力がないようなときにこそ、自分の内から湧き上がるような欲望こそが生きていくための糧になるのだと、この春彦の台詞を通して再認識しました。 だけど、内から湧き上

「リメンバー・ミー」:二兎を追う者は一兎を得ずってほんと?

みんなが大絶賛しているので、「リメンバー・ミー」をみてきました。 (※以下、ネタバレあり) いろんな人が泣いた、というコメントを残しているのですが、映画で涙することの多い私は、なぜか今回は泣くことはありませんでした。 でも、「いい映画」という評価には納得。 「死者の日」というメキシコの伝統文化をベースに、死者と現世の関係、家族と(個人の)夢の関係、記憶と思い出の関係などを考えさせられる作品です。 この「死者の日」というのはラテンアメリカにおける祝日の一つで、この日には

「アバウト・タイム」:いま、この時間をもう一度体験するとしたらどう過ごしますか?

今日の映画は、リチャード・カーティス監督の「アバウト・タイム ~愛おしい時間について~」。 ありがちな感じですが、それでも幸せな気持ちになれる作品です。 何気ない一日を、もう一度体験してみると幸せに気づく、というシーンが好きです。お父さんのオチャメで真面目で、人格者であるところも。 ティムの家族はとっても素敵。メアリーを受け入れるティムのお父さんとお母さんのウィットに富む言葉も。妹を心配して過去に戻ってみたけれど、うまく行かなくて、辛抱強く妹と向き合うティムとメアリーも