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映画感想

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わたしのみた映画たち
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#夏に見たい映画

「バケモノの子」:心の闇は誰にでもある

心の闇。ぽっかり空いた心の穴。 それがこの映画の主題だと思う。 九太(蓮)は、幼少期に母を交通事故で亡くし、父は音信不通に。孤独に苛まれて泣いていた。 そこに手を差し伸べたのがバケモノの世界で生きる熊徹。強さを求めて熊徹のもとで修行することを決意したキュータは熊徹とともに切磋琢磨し、日々成長していく。 しかし、バケモノの世界で人間は危険な存在だった。 なぜか。 人間はみな心の闇を抱えていて、その闇に飲み込まれたとき、とてつもなく恐ろしい存在になるからだという。

「君が君で君だ」:誰にとっての愛なのか?

何がなんだか分からない――。 極端な(?)愛のあり方を描いた映画でした。 映画の主人公である三人の男たちは、カラオケ店で働いていた韓国人の女の子「ヨンソン」に熱狂し、十年間ソンの一挙一動すべてを見守りつづけます。 いわゆる“ストーカー行為”。いや、ただならぬ熱狂愛?(※映画パンフレットのインタビューで、ソンを演じたキム・コッピが話していましたが、これは決してストーカーを肯定する映画ではないそうです) しかし、彼らはソンを守る「兵士」を名乗り、ソンを見守る国をつくって

「wonder」:#choosekind

最近みている映画は、「The・悪人」があまり出てこない。 今回の映画もそうだった。 主人公は、生まれてから顔の手術を何度もした、オギーという少年。 だけど、オギーを取り巻く一人ひとりにも物語があるんだよ、と伝わってくる構成だった。 映画の舞台は、学校。 くっついたりシカトしたり、その場の流れでつい友人の悪口を言ってしまったり――。 そんな残酷だけど、よくある学校という“世界”の話だ。 そこでは、多くの場合、見た目やキャラクターでスクールカーストが形成される。そんな暗

「メゾン・ド・ヒミコ」:欲望がほしいんだよ。

「欲望がほしいんだよ」 オダギリジョー演じる春彦は、恋人であるヒミコが死に近づいていく中で、生きるための欲望がほしい、と言います。 「刺激がほしい」という言葉はよく聞きますが、それはつまり「欲望がほしい」ということなのかもと思いました。「欲望がほしい」という言葉の方が的を得ているのではないか、と。 とくに、生きる気力がないようなときにこそ、自分の内から湧き上がるような欲望こそが生きていくための糧になるのだと、この春彦の台詞を通して再認識しました。 だけど、内から湧き上